反社会勢力のパーティーに参加していたとして非難された宮迫博之さんや田村亮さん、その他の芸人の方々。ところがお二人が独自に行った会見と、その翌日の吉本興業・大崎社長の会見で、潮目が変わりました。ただし! 本当に追及すべきはそこじゃない!
ズバリ、「脱税」疑惑ではないでしょうか?
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こんにちは。海外書き人クラブお世話係・オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
じつはこの話題は日本国内のものなので、「海外在住ライターである私がわざわざ外野から口出ししなくてもいいかなあ」と静観を決め込むつもりでした。この【柳沢有紀夫の視点】でも書くつもりはありませんでした。
ところが事件発覚からかなり経つのに、私が気になる部分に触れるメディアが見られないので、やっぱり書くことにしました。それは「脱税疑惑」です。
問題の背景をザッとおさらい
この問題、矛先があれこれ変わりました。
最初は「芸人方々が闇営業していたこと」、「その相手が詐欺集団や反社会勢力であったこと」。
そしてお二人の記者会見後は「吉本興業が会見を許さなかったこと」「同社がパワハラと思われる発言をしたこと」。
もちろんそれらは問題です。
ただ「詐欺集団」と見抜くのは難しい。実際にその場に行けば「なんでこんなに若いやつらが羽振りがいいんだ?」と疑問を持つかもしれませんが、若くして「IT長者」や「起業成功者」になる人もいるので、そういう人たちだと思いこむ可能性は多分にあります。
「反社会勢力」の場合、実際にその場に行って「写真、いっしょに撮ってくれ」と言われたら、断りにくいだろうなというのは容易に想像がつきます。「おう、オレといっしょに写真が撮れないのか」とすごまれても逆に匕首を隠し持ったような笑顔で迫られても、「撮れません」とは状況的に口にしにくいのではないでしょうか。
仮に私がその立場になったとしたら、私もビビッてへらへらしながら写真に納まってしまう可能性はないとは言えません。みなさんはいかがでしょうか?
私は正直言ってヘタレなので、その辺は同情の余地があると思っています(「お金は受け取っていない」とウソをついたり後輩たちに根回ししたのは断じて許されることではありませんが)。
一方、吉本興業の「パワハラ」とか「ギャラの配分」などにも大いに問題はあるとは思います。もちろん「ブラック企業」だと疑われる会社に対しては、社員や取引先だけでなく社会全体で是正させる必要はあると考えます。
巨額脱税は許されない
ただし! 今回の問題でいちばんチェックすべきなのに、ほとんど誰も気にしていない大問題がある気がします。
それは冒頭に書いた「脱税」疑惑です!
宮迫博之さんや田村亮さんは、詐欺集団から受け取ったギャランティーは、しかるべきところ寄付したと言います(その後寄付団体から「趣旨に反するので受け取らなかった」との声明が出されました)。
ただし最初に記者から追及されたときのすっとぼけた様子からすると、いわゆる「闇営業」をしていたのはこの一回だけではなかったように見受けられました(もしもあのときの一回だけだったら謝るので、そう宮迫さんも田村さんも宣言してください)。
たぶん数回とか数十回、もしかしたら数百回、ああいう場に呼ばれ、そのたびに100万円とか50万円のギャランティーを受け取ってはいないでしょうか。仮に100回だとしたら、1億円や5000万円という数字になります。
その金額を宮迫さんと田村さんは確定申告していますか? していないとしたら、巨額脱税です。
私たちが本当に怒るべきところは、ここではないでしょうか!
会社員や公務員、そしてアルバイトなどの給与所得者は、会社や役所を通してきちんと税金を払っています。私のような物書きも、原稿料などは銀行振り込みですから、誤魔化しようがありません(厳密に言うと、確定申告をしたときは誤魔化せるのでしょうが、「おかしいぞ」と調べられたとき、銀行振り込みなので隠しようがありません。そんな危険を冒すのはよほどのアホです)。
そうです! 多くの人たちはちゃんと税金を払っているのです。もしかしたら納税を忘れている副収入(たとえば競馬の配当とか宝くじの賞金とか。ギャンブルは一切しないので、どこからが納税対象なのかわかりませんが)もあるかもしれませんが、何百万、何千万という単位での脱税はしていないと思います。
だから私たちがいちばんチェックすべきなのは、「いわゆる闇営業で得た収入を芸人たちは確定申告してきたのか」ではないでしょうか。
納税は国民の「三大義務」
今回は「芸人vs吉本興業」という局地的な話ではなく、「脱税者vs納税者」という社会全体にかかわる大きな問題です。
「納税」は「教育」「勤労」とともに、日本国憲法に定められた「三大義務」のひとつです。それをないがしろにしてはいけません。
政治家や企業の脱税は声高に非難して、芸能人にはしないというのはおかしな話です。中国では昨年10月、人気女優の范氷氷(ファン・ビンビン)氏が脱税などして、「范氏と同氏が運営する企業に対し、追徴課税や罰金などで合わせて8億8300万元(約146億円)の支払いを命じた」(BBC News Japanより)とのことです。
他に例がパッと浮かばないのですが、海外では政治家でも企業人でも芸能人でも、巨額脱税をした人に対する目は本当に厳しいです。
国税庁にもしっかり調査していただきたいですし(元カラテカ入江氏なら司法取引的なものに応じる可能性も充分あるでしょう)、その前に宮迫さんや田村さん、その他の芸人の方々ももしも確定申告していない収入があるとしたら、自ら公表および申告し、追徴課税と罰金を払い、他にも寄付や奉仕活動などの社会貢献を行うべきだと思います。自らです。
それでようやく人々は納得できます。いわゆる「みそぎ」が済むのは、それからではないでしょうか。
重ねて書きますが、「闇営業で得た収入は今話題になっている100万円と50万円だけだ」というのであれば、素直に謝ります。
宮迫さんや田村さん、その他の芸人の方々も、もしもあれ以上、未申告の闇営業収入がないとしたら、記者会見なりマスコミ各社へのファックスなりで絶対に自ら身の潔白を主張すべきです! そこは強くオススメしたいです。
(文 柳沢有紀夫)
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