【災害対策】洪水と床上浸水のあと何をすべきか3~失くして得ることもある

洪水後の家の中

経験者が語る床上浸水のあと、実際に何をしたか、何をすべきか、何を思ったか」。3回目の今回は本格的に掃除と片付けを始めた日の様子です。

こんにちは。海外書き人クラブお世話係、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

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1 最初の作業は捨てるものの仕分けと床と壁の水洗い

計4泊の避難生活を終え、朝10時にゴールドコーストのコンドミニアムからわが家に到着しました。先発隊は17歳の長男と16歳の次男と私です。
妻と12歳の長女は、後発隊です。長女のバレエの夏期特別レッスンがあるのと、まだ12歳の長女にあまりひどい状態の家を見せたくないのと(前の日、一時的に帰宅したときも連れてきていません)、妻が精神的に少し弱っているようなので少し気を紛らわせてやりたいと思ったからです(娘のバレエのことに取り組んでいると時間も忘れる彼女です)。

まずとりかかった作業は主に2つです。
➀濡れたものを出して、使い物にならなくなったものと使えるものを仕分け、前者は捨てる。
②その後、泥だらけの床を水できれいにする。

洪水後のシャワールーム

洪水後のシャワールームも泥だらけ

洪水後のトイレ

洪水後のトイレ。ドアが外れているのは浮力で浮いたからだと思われる

2 PTAの役員が様々な情報をくれる

作業を始めてすぐに近くの小学校のPTAの役員と名乗るチャールズという人が来ました。「何か必要なものがあれば手配します」とのことです。
隣近所だけでなく、遠くからもボランティアの人たちもたくさん来て、協力しあいながら清掃と片づけをしています。
私は少し考えて、高水圧で汚れを落とせるホースが(なんと呼ぶのか不明。「パワーホース」と身振り手振りを交えて言ったら伝わりましたが)が、あるとうれしいとお願いしました。昨日ガレージの掃除に役立ったからです(注 あとで調べたら日本では「高圧洗浄機」と呼ばれているようです)。
チャールズは「できるだけ手配するようにしますが、あちこちで必要とされているので、いつになるかはわからない」と答えました。
それから持ち家かどうか、保険には入っているかと聞いてきました。「保険には入っているが洪水の被害はカバーされないタイプだ」というと、「とにかく請求してみるといいらしい」とのこと。テレビで伝えていたのと同じです。
それから、1キロ半ほど離れたRSL(退役軍人のためのクラブですが、一般人も利用可能。残念ながら第二次世界大戦で敵となった国の人間なので私はほとんど行きませんが、食事や「ポーキー」と呼ばれるスロットマシンのようなゲームをする人も多いようです)では、サンドウィッチが無料支給されるとのこと。
また3キロほど離れたプールでは温水シャワーが無料で浴びられることなどを教えてくれ、州政府や市役所、電力会社などの連絡先がプリントされた紙を渡してくれました。

 

3 ボランティアの人たち

さて、実際の作業です。片づけを始めて、水を含んだものがいかに重くなるか、改めて思い知らされました。特にお客さんが来たときにふとん代わりに使っていたシングルベッド大のマットレスの重みときたら尋常ではありません。

洪水後のゴミの山

洪水後のゴミの山。左端が本棚3架。水を吸って重かったのが右端のマットレス2枚

泥汚れを取るのに一番楽なのは、先ほど書いた水圧を高められるホースを用いながらブラシでこするという方法ですが、それがやってくるのを待っているわけにもいきません。普通のホースで散水しながらブラシでこすりました
結局、一日目は高圧洗浄機は届きませんでした。

通りにはほうきやらシャベルを担いだボランティアたちが歩いています。今回の洪水で実際に浸水したのは、ブリスベンの一部ですが、市のあちこちからボランティアたちが被災地に来てくれています。
通りかかった彼らが「手伝うことはないですか」と言ってくれるのですが、わが家では男手が3つありますから、「できるだけお年寄りだけの家に行ってあげてください」お断りしています
ただ、もちろん「声をかけてくれてありがとう」という言葉を添えるのは忘れません

 

4 合板の家具は水に弱い

とりあえず、室内に関しては一通り床の泥を流しましたが、それでもまだ砂のような状態で残っているし壁の汚れはホースでは取れません。
翌日は洗剤をつけたスポンジで壁の汚れを取って、もう一度床も掃除する作業がメインになると思います(※のちほどこの作業ではダメなことが判明しますが……)。
その他にも、家の外壁、庭、柵などの汚れを取る作業や、浸かったけれどもまだ使えるものも洗ってもとにもどさなければなりません。

家の2階は1階から引き上げたものや本で足の踏み場もないほどです。
まだまだやることはたくさんあります。たぶん1週間くらいはかかるのではないでしょうか。

水に浸かって使えるもの・使えないものと言えば、合板・バルサでできたものはすべてダメでした。日本を含め、世界中で人気のある北欧の家具会社のものを私も使っていたのですが、ガラス戸付きの本棚3つと棚のついた高さ2メートル40センチほどの収納家具は、水を吸ってボロボロになってしまいました。もちろんその家具会社が悪いのではなく、合板・バルサ・ベニヤ板の宿命です。

合板でできているため使えなくなった本棚

合板でできているため使えなくなった本棚

その一方で、一枚板を組み合わせた、ちょっと無骨なテーブルや本棚はだいじょうぶでした。

夕方5時に、妻がゴールドコーストの日本料理店で買った弁当を持って、長女とともに帰ってきました。
ガスボンベを使ったコンロで調理はできるのですが、時間がかかって大変です。まだほんのりと温かさが残る弁当をおいしくいただきました。

 

5 火事場泥棒のような人も……

そう言えば、浸水後に電気を通すためには、免許を持った電気技師にチェックしてもらう必要があります。そのままでは感電する危険性が非常に高いからです。
そうした電気技師を政府も手配してくれているのですが、いつになるかはわかりません。
一方、希望者は自前で手配することができます。停電では私の仕事にならないだろうと気遣ってか、妻が手配しようとしてくれました。
ところがチェック代だけで1400ドル(11万円強)で、修理やコンセントの交換費用などは別とのこと。
そして昼過ぎに電話したところ、「今日行けるけど、お宅の前に6軒ある」と言われました。ということは一日10軒近く回っているということでしょう。
感電の危険をなくす大切な仕事であることはわかりますが、私にはどうしても火事場泥棒のように思えてなりません。
仕事のために電気はほしいですし、払って払えない額ではありません。
でもそうすることで今、真面目に政府経由で働いている電気技師たちが、個人の依頼を受けて、政府経由の仕事をしなくなる可能性があります。一日の収入が約100万円と考えれば、食指も動くでしょう。
そう考えると個人の依頼を受ける電気技師にお願いすることは、被災者仲間を裏切ることになり、とても私にはできません(お店を開いている人などは、そうも言っていられないのでしょうが)。一日に2度くらいフリーwi-fiのスポットに通って、充電させてもらいながら乗り切ることにしました

 

6 停電が続く中で気づいたこと

夜になると外は真っ暗です。停電なので電気がついている家は見渡す限り、どこにもありません。みんなろうそくやランタンで、あたたかい時間を過ごしたことでしょう。

午前2時にふと目覚めたら、外は意外と明るかったです。満月から少し欠けただけの月でした。これなら外も歩けそうだと感じました。実際、昔の人はそうしていたのでしょうね。
失くして得ることもあります。不自由してわかることもあります

夜は暗いこと。

ろうそくの火はけつまづいただけで消えてしまうこと。

ろうそくの火は、下をあまり照らさず、パソコンや書き物に不便なこと。

お湯のシャワーはあたたかいこと。

今まで気づかなかったことに気づく楽しみもあります。

【文 柳沢有紀夫】

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