【海外在住ライター直伝】その水、飲めるの? 世界12ヵ国の水道水事情

フィリピンの水くみ場

「日本人は水と安全はタダと思っている」という言葉があるように、水道水の蛇口をひねればちゃんと飲める水道水が出てくる日本。一方で、「海外旅行では生水に気をつけろ」ともよく言われます。そこで世界各国の水道水事情を現地在住のライターたちに聞いてみました

こんにちは。海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫です。

まずは「水道水はキケン」という国々です。東南アジアの国々は基本的にそんな感じのようです。

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1 タイ

タイの水販売機

水道水は飲めません。スーパーマーケットなどではボトル水も数多く売っていますし、ウォーターサーバーを使ったり、浄水器を取り付けている家庭が多いです。

2011年には、過去50年で最悪の水害の被害が出た大洪水が起きましたが、家庭の水道水も濁ったりして、バンコク在住の日本人の間でも水質が心配だと話題になりました。

日本の国際協力機構(JICA)が首都圏の上水道整備を支援していて、水質は全般に向上しています。

(森純)

 

1961年よりタイの首都バンコクの郊外の浄水場においてJICA支援により、チャオプラヤー川を源泉とする上水道用浄水場建設支援および技術指導をプロジェクト第一号として開始し、タイ国民に衛生上安心して使える上水道の供給をしています。現在でもJICAからの支援は続いており、バンコクに限らず地方への支援も広がっています。

JICA職員いわく、水の浄水レベルは日本と同じだそう。ところが浄水場から各家庭への排水管が経年劣化や品質劣化などにより、蛇口で出て来る水が茶色くなったりすることはある、とのことです。

(水野聡子)

 

2 カンボジア

カンボジアのウォータータンク

シェムリアップでは、上水道が通っている地区と、そうでない地区があります。上水道は飲んでも大丈夫と言われていますが、管理体制への不安と、塩素のニオイがきつくて、飲む気にはなれません。また乾季は貯水場の水が枯れ果てて、断水状態になる事もままあります。そのため、時期や状態に応じて上水道と井戸水をタンクごとに切り替えて使用出来るようにしています。

上水道が無い場合は、井戸水をポンプで汲み上げて使用します。この場合、断水はありませんが、洗濯物が鉄分豊富な水のせいで、日々薄茶色に染まっていきます。どちらも沸かしてしまえば、調理に使うのも問題ありませんが、気になる人は交換式の20㍑のタンクで水を購入(大体5ドル程度)します。無くなったら空タンクと満タンのを交換(大体1ドル程度)。

(青山直子)

 

3 マレーシア

マレーシアの浄水器売り場

首都圏の上水道を供給している会社によると、水道の水は「飲んで差し支えない水質」ということになっていますが、実際に飲んでいる人には会ったことがありません
日常の飲料水や生活用水には、蛇口直結タイプの浄水器、または家への配管そのものに取り付けるフィルターを使うか、販売機で飲料水を買う人がほとんど。

全般に水道管が老朽化しているため、水が濁っていたり、小さな異物が出てくることがあります。浄水器を使わずに洗濯を繰り返すと、白いシャツやタオルが次第に薄茶色になってくるほど。

古くて弱くなった水道管には別な問題もあり、十分な水圧がかけられないので高台などでは水が出にくいことがあったり、ときどき破裂して地域一帯で断水することがあります。また雨が少ない乾季には、ダムの貯水量が不足して、給水制限や断水になることがわりとあります。

(森純)

 

4 香港

香港のウォーターディスペンサー

水道水は飲めません。家庭や職場ではミネラルウォーターか蒸留水のディスペンサー(蒸留水が入ったプライティックの巨大ボトルを設置して、そこから水が飲めるようになっている機械。一般的に家庭では12リットル、会社では18リットルを使う)があり、なくなると電話でオーダーし、宅配してもらいます。スーパーで購入し、宅配サービスを利用する人もいます。

水道水は飲めませんが、洗濯やシャワー、歯磨きには使えます

(りんみゆき)

 

5 グアテマラ

グアテマラの公共水道

都市部の水道水は一応飲めることになっているのですが、実際には大抵の人が水道水ではなく、ボトルウォーターなどを買って飲用にしています。

また、水道は24時間供給されるのではなく、場所によって毎日数時間、あるいは週に1、2度数時間などと決まっているので、どの家庭でも貯水槽や貯水タンクに水を貯めて生活用に使っています。

町によっては各家庭に水道が通っておらず、共同の水道を使っているところもあります。水汲みは女性の仕事(子供を含む)で、プラスチック製の壷に水を入れ、ひょいっと頭に乗せて持って帰る姿などを見かけることもあります。

草野あずき

 

6 インド

インドのウォータータンク

ついシャワーの時にしっかり目を閉じなかったので、あっという間に目が腫れてしまって病院へ行ったことがありました。よくある「アイ フルー」と言われました。以後、懲りたので絶対に目をきつく閉じてシャワーを浴びました。中には神経質な人はゴーグルをしてシャワーを浴びています。海外生活の長かったインド人や、駐在をしている外国人にはよくあるらしいのです。

生水は絶対に飲めません。またレストランで出される氷も水道水の可能性があるので避けます。というのも、水道水は一旦屋上にある貯水用のタンクに汲み上げられますが、タンクそのものが清潔でない可能性もあります。とたんにお腹を壊します。大体は遠くに住む大家が管理をしていて、年に2回はタンクの掃除をするのですが、ずさんな大家だとしていないこともあります。タンクの問題もそうですが、水道管自体の老朽化に伴い綺麗な水がでてくることがありません。上水道が1日に数時間しか給水されませんから、屋上のタンクに給水するのですが、上水と下水が混ざってしまって汚染した水が水道管から出てくることがあるので、バクテリアが混入してしまい、下痢、腸チフスになってしまいます。このように急に目が汚染水によって変になるのも頷けるのです。

現地の人は生まれた時から免疫があるので大きなトラブルはありませんが、やはり先進国から来た人間は油断をしていると大病になる可能性があります。

富裕層や、外国人は生水を一切飲まないので、20ℓ用の大型フィルターウォーターやミネラルウォーターを米とぎ用の生活用水にしています。

中流家庭では、水道水を濾過機で濾過させてから生活用水にしています。

(パッハー眞理)

 

次に「安全な水道水もあればそうでないのもある」という国々。

 

7 フィリピン

マニラ:前の会社で必要があり、マニラの水道水の分析をしたところ、バクテリアの数などはそこそこOKだったのですが、ミネラルが多すぎ(特に鉄分)の超硬水なので料理とかには向いていないし、飲んでもおいしくない。元々中流以上の家庭では水道水を飲む事などの信用を水道局(外国企業を中心にした民間グループに委託)に置いておらず、必ず町内に二、三軒は濾過水や蒸留水などを売る「水屋」があり、直接飲む水はそこから買うフィリピンの水屋さん

サマール島:公的な水道はない。公的私的問わず基本的に井戸。山水を引いて来て大きなタンクに貯め、そこから配水する場合もある。井戸や山水が渇水したら、村のハズレの泉に汲みにいくが、この水は本当のミネラルウォーター

フィリピンの水くみ場

イフガオ地方:世界遺産で有名なライステラス(棚田)があるイフガオ地方の山村では、そのライステラス自体が巨大なダムともなっており、各家庭にはその豊富な山水が配水されているが、あまりに豊富なため、蛇口を閉める必要がなく、ミネラルウォーターが絶えず流れ出していて、洗濯・炊事にもそのミネラルウォーターが使われている。

フィリピンの水田

This work has been released into the public domain by its author, Magalhães.

(Okada M. A.)

 

8 タヒチ

メインランドのタヒチ島なら、上水道はそのまま安全に生で飲むことができます。

離島、特にツアモツ諸島では、ホテル以外の水は生で飲むことはできません(ホテルでは海水を真水に替える機械を使い、ボイラーで消毒されているので、安全に生で飲むことができます)。「良い水」でも、雨水をそのまま貯めただけです。

シャワーやトイレを流す用の水は地下水です。地下水と言っても、日本のイメージとは違います。ツアモツ諸島の島は、「珊瑚のかけらが集まっただけ」の島で、その珊瑚のかけらに染みこんだ雨水が、海水との浸透圧で濃く混ざってないだけの水で、石けんも泡立たないほどの非常に濃いカルシウムが含まれていて、更にドブ臭いです。飲用すると、2週間位は激しい下痢をします。歯磨きに使っても、お腹を壊します。

逆に雨水の場合は、日本などと違い塩素が含まれていないので、石けんはいつまで経ってもぬるぬるが取れません。

(浜口幸喜)

 

フィリピンは都市部がNGで、タヒチは逆にOKというのが興味深いです。ホント、国それぞれですね。

そして次は「飲めることは飲めるけど、硬水なのであれこれ苦労が」という国(都市)。ヨーロッパはこういうところが多いようです。

 

9 ポーランド

ポーランドのキッチン

ポーランドの水は基本的に硬水なのですが、私の住んでいる地域はそのなかでもハイレベル(?)の硬水地域。お風呂に入っても、体がパリパリする感があり、でたら皮膚がつっぱり、はねた水をすぐに拭かないで置いておけばタイルの周りに白いカルキの跡が残るという始末。そんな中、友人が家に水をやわらかくする機械を設置し、家中の水の質をやわらかくしたとか。シャンプーで髪を洗ったあと流しても流しても泡がおちないとぼやいておりました。だれも、彼女に軟水にしたら使うシャンプーの量を減らすように言ってあげなかったそうです……。

ちなみに、水道水の水は飲めます。一部の人の間ではペットボトルに入っている水より、検査が頻繁に行われているため安全度が高いといわれています。(我が家も通常は水道水を飲み、ペットボトルの水は災害用の予備水として購入してます)

(ソルネク流 由樹)

 

10 オーストリア

水道水は飲めます。首都にいながら水道の蛇口をひねるとおいしいアルプスの天然水を飲むことができます。また市内各所にも無料の水飲み場が設置され、ここでもアルプスの水を飲めます。そしてなんとウィーンに水を送る際には水力発電所を稼働させ電気まで作り出しています。

ただ硬水なので、お風呂の後、髪の毛はゴワゴワに……。慣れれば大丈夫ですが、旅行や短期滞在の場合はスキンケア、ヘアケアを念入りにしてくださいね。

(バレンタ愛)

 

11 イギリス

イギリスの電気ケトル

イギリスでも特にロンドンは硬水なので、「ライムスケール」という石灰質の水垢がケトルや食器に残ることがあります。特にコンセントにつないでお湯を沸かす電気ケトルは定期的にライムスケール取りをしないと、白く固まったライムスケールがお湯を注いだ時などに一緒にカップに注がれてしまい、見た目がとても汚いです。イギリス人にも嫌われているものです。

また、硬水だけあり、日本から来た人は最初の1ヵ月ほどは髪や肌が傷みガサガサになります。その後は体も慣れてくるみたいですが。

同じイギリスでも、ウェールズやスコットランドは日本と同じような軟水だということです。不思議ですね。

(塚田沙羅)

 

そういえば私が住むオーストラリアの内陸部にローマという町があって、ここの水道水が石灰質を大量に含む極度の硬水だったことを思い出しました。シャワーの際、石鹸が泡立たないので大量に使ったはいいど、今度は水道水で洗っても洗っても、なかなかぬるぬるが落ちなくなり……。「いやいや、これは石鹸のものではなく、水道水そのものがぬるぬるなんだ」と気づいたのはしばらくしてからでした。

そして最後に「普通に飲めるよ」という国(都市)です。

 

12 オーストラリア

私が住むブリスベンや多くの都市では水道水は飲めます。我が家では一応フィルターで濾していますが、そのまま飲んでもだいじょうぶです。公園の水道なども普通に飲めます。

ただし……。ブリスベンはそうではないのですが、オーストラリアの多くの地域では水道水に「フッ化物」が入れられています。歯医者さんでスケーリング(歯石除去)をしたあと、塗ってもらうものと同じですね。つまりは水道水を飲むだけで、歯を強化して虫歯を減らすという理論なのですが……毎日飲む水に余計なものを添加するのはいかがなものかという議論もあります。

(柳沢有紀夫)

以上、「世界の水道水事情」でした。しかしたった12ヵ国の事例とはいえ、日本と同じ感覚で水道水が飲めて使えるのはオーストラリアだけというのがビックリですね。

これからも別の「世界のインフラ事情」を調べていきたいと思います。

 

※「世界各国のインフラ事情」シリーズは下記の通りです。

 

【構成・柳沢有紀夫】

(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)



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