台風15号で「陸の孤島」化! 成田空港の2つの問題点【柳沢有紀夫の視点】

2019年9月9日、台風15号通過後の成田空港の混雑ぶり

2019年9月9日朝、千葉市に上陸して関東地方を直撃した台風15号。成田空港と東京をつなぐアクセスにも大きなダメージを与えました。

じつは知人がこのさなかに、オーストラリアから成田空港に移動。着陸から東京駅近くのホテルに着くまで7時間かかりました。

知人から逐次送られてきたメッセージをもとに、当日成田空港では何が起きていたかをレポートし、また今後の危機管理体制への提言をしたいと思います。

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成田空港到着まで

カンタス航空61便はブリスベンを定時より5分ほど遅れてブリスベン国際空港を朝の9時40分(日本時間8時40分)に出発しました。この時点でいくつもの列車の運休していることはわかっていましたが、成田空港への到着予定時刻17時55分。夕方には列車も動いているだろうと思い込み、「朝到着の便だったら欠航になったり別の空港に着陸したりすることになったかもしれない。夕方着の便で良かったねえ」などとのんきに話していたのですが……。

 

成田着陸後1時間機内から出られず

成田空港に着陸したのは定時の10分前の17時45分。機内でスマホの「機内モード」解除可のアナウンスがあったようで、「無事成田到着‼」のメッセージが入ってきました。こちらからの「台風だいじょうぶだった?」と問いにも「全然問題なし!」の返答。この時点では空港ビルの構内で何が待ち受けているかも知らず、まだまだのんきなものでした。

しかしその後、「到着ゲートが空かないらしくて、ずっと機内で待たされている」とのメッセージが来ました。私は以前LCC(格安航空会社)で成田に着いたとき、飛行機からタラップで降りてバスでターミナルまで輸送されたことがあるので、もしかしたらそんな風になるのかなと予想していました。

ところが、です。普通は着陸後、ゲートに到着するまでは「シートベルトはつけたまま」と機長の指示が出て、このときも最初はそうだったのに、途中機内では「トイレはご自由にご利用ください」といったアナウンスがあったそうです。この時点でかなり長丁場になるらしいことが判明しました。

そしてゲートが空き、機内から出られたのは着陸から約1時間後でした。

 

バスもJRも京成本線も運行していない!

さて長い間機内に閉じ込められていた知人は、その間にいつも利用している「THEアクセス成田」という東京駅行きのバスの時刻表を確認しようと、サイトを開いてみたところ驚愕の事実を発見しました。なんと「東関東自動車道が閉鎖のため運休」とのこと。高速道路が閉鎖なので「リムジンバス」など他のバスも運休です。

では鉄道はどうかというと、JR成田線も全面運休なので「成田エクスプレス」も在来線も使えません。京成電鉄も「京成上野-京成成田」間は運行(ただし遅延の可能性はあり)でしたが、「京成成田-成田空港」間がストップ

唯一動いているのは「成田スカイアクセス線」だったので、知人は税関を通って日本に入国したらそれを使って東京に向かうつもりでした。

ところがいざ入国したと思ったら……スマホで撮影した写真がこれ!

2019年9月9日、台風15号通過後の成田空港の混雑ぶり

「人が多くて全然動かない」「アナウンスもない」「列があっても何の列かわからない」とのメッセージが次々と入ってきました。

とはいえとにかく動いているのは「成田スカイアクセス線」だけなので、そのホームに向かったそうのですが……。

そこもこんな状況です。

じつは「成田スカイアクセス線」には成田湯川駅から成田空港駅の間に単線区間があります。よってもともと輸送力は小さいですし、臨時列車を出そうにも本数が極めて限られてしまうのです。

 

この状況を見たり、まわりの人たちと会話したりして、知人は「タクシーで京成成田駅まで行く」ことを思いつきました。京成本線は「京成成田-京成上野」間が運行しているからです。ところが……。

当然のことながらタクシー乗り場も長蛇の列! 諦めてまた「成田スカイアクセス線」の列にもどったそうです。ただ列は遅々として進まず。

この時点で夜8時過ぎ。着陸から2時間以上経過しています。「もう空港で寝るしかないかも」とのメッセージが来ました。

ちなみに宿泊予約を入れてあった東京駅付近のホテルに電話を入れて状況を伝えたところ、「チェックインは24時間OK。天災がらみなので宿泊できなくてもキャンセル料はいただかない」といった返事だったそうです。こんなときでもちゃんと連絡する知人も、そして対応したホテル側も立派です。

 

東京駅付近のホテルにチェックインできたのは24時40分過ぎ!

その後、早寝早起きの私に気遣ってか(時差も1時間だけですがあります)、知人からのメッセージは途絶えます。再び連絡が来たのは日本時間の24時43分! 「やっとチェックインできた」とのことでした。成田空港着陸からなんと7時間後です!

ただホテルに宿泊できる知人はまだ不幸中の幸いだったと言えるでしょう。東京駅から先、たとえば自宅に帰る人たちは、おそらくタクシーや深夜特別料金のバスを利用するしかなく、到着もずいぶん遅れたと思います。

ちなみに知人が乗ったのは、運転再開した京成本線の都営浅草線と京急本線との相互乗り入れの終電立ったようです。

 

今回の問題点と今後の課題

さてこの日の成田空港の出来事に関する問題点をいくつか挙げてみたいと思います。

 

1 アナウンスがなかった

これがいちばんの問題だと思います。アナウンスがないので人々はネットで検索して、その情報を見ながら右往左往するしかなかったのです。

ただ日本人ならネットで検索もできます。でも日本語ができない外国の方々にはアクセスできる情報も限られているというか、そもそも何を調べたらいいのかわからないかもしれません。

みなさん、想像してみてください。もしも自分が言葉の通じない外国に行って、空港は大混乱しているのにアナウンスがまったくない状況に追い込まれたら……。ものすごく不安になるでしょうし、また「二度とこんな国に来るかっ!」と憤りすら感じる気がします。

「観光立国」を目指すというのに、これはあまりにお粗末な対応です。「日本はとても素晴らしい〈おもてなしの国〉ですねえ」と嫌味の一つでも言いたくなります。

 

2 成田空港-京成成田駅間で臨時シャトルバスを走らせたか?

アナウンスの欠如と並ぶ、もう一つの問題は想定の甘さ・準備不足です。

前述の通り、京成本線の「京成成田-京成上野」間は運行していました。で、知人は「タクシーで京成成田駅まで行こう」と思いついたわけですが……タクシー乗り場は長蛇の列。あきらめた人も多かったと思います。

今、調べたところ成田空港第一ターミナルから京成成田駅までを50分弱で結ぶ路線バスもあるようですが、おそらくそれも長蛇の列だったでしょう。しかも「50分弱」というのがかなり時間がかかる感じがします。

ちなみにグーグルマップで調べたところ、徒歩での最短ルートは8.2キロで1時間44分。身軽であればこれがいちばん早く東京駅までつけたかもしれませんが、大きなスーツケースを引っ張ってだともっと時間はかかるしかなり大変そうです。

で、私がふと思ったのは「成田空港-京成成田駅間で臨時シャトルバスを走らせなかったのだろうか?」という疑問です。

成田空港発で唯一運行していた「成田スカイアクセス線」と違い、「京成本線」は全区間複線です。しかもスカイライナーや特急の通過待ち合わせができる駅がたくさんありますから、輸送力は数倍高いはずです。だから京成成田駅まで人を運びさえすれば、その先の東京方面へはかなりスムーズに輸送できたでしょう。ちなみにこれまたグーグルマップによれば、成田空港から京成成田駅まで車だとわずか11分です!

しかも東関東自動車道が閉鎖されていたので、成田空港周辺では「THEアクセス成田」や「リムジンバス」などが余っていたはずです。

なぜそれをしなかったのか?

いや、もしかしたら臨時シャトルバスを走らせたのかもしれませんが、当日成田空港や京成電鉄のウェブサイトを見た範囲では、目立つところに表記されていませんでした。さらに空港内でアナウンスもありませんでした。仮に走らせていたとしても、きちんと告知しなければ無用の長物です。

じつは私自身もこの「臨時シャトルバス案」を思いついたのは、知人がホテルに到着したとの連絡を受けてからです。もっと早く思いついていれば、成田空港なり京成電鉄に電話したり、またSNSなどで「彼らにこういう要望を出しましょう」と呼び掛けることができたはずです。そういう意味では手遅れでした。

ただ言い訳になりますが、私は空港事業や鉄道事業に関してはズブの素人です。一方、成田空港や京成電鉄などはプロです。普段から「こういう場合はここまで臨時シャトルバスを走らせる」とシミュレーションしておく。それこそが「危機管理」ではないかと思います。

ぜひ関係各社や国土交通省のみなさんは、今回のことを教訓として生かし「臨時シャトルバスの運行などのシミュレーション」をしておいていただきたいと思います。成田だけではなく、関空や中部国際空港などでも

以上、2019年9月9日の台風15号にまつわる成田空港の様子と、それに関する考察でした。

最後になんとか成田空港を脱出したみなさん、お疲れさまでした。まだ足止めを食らって、空港で一夜を過ごした方々、お疲れさまです。がんばってください。

(文 柳沢有紀夫)

 

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