【海外在住ライター直伝】大雪で国際線が欠航した!(成田空港現地レポート)

大雪の日の成田空港

2018年1月22日、関東甲信で異例の大雪が降りました。皆さん、大丈夫だったでしょうか。

私は大丈夫じゃありませんでした。22日に乗るはずだった国際線のフライトが欠航になり、成田空港で一夜を明かしたのです。欠航はどのように決まったのか、その後はどういった対応が求められたかアメリカ在住会員の大井美紗子がざっくりお伝えします

朝からなんだかイヤな予感?

まず、私が乗る予定だった便は全日空(ANA)、18:15発のアメリカ・シアトル行きでした。日本へ一時帰国しており、シアトルの自宅へ帰るところだったのです。

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その日は長野県の実家をお昼過ぎに出て、新幹線とスカイライナーで成田空港へ向かいました。長野県を離れ、高崎、大宮、と東京に近づくにつれ、吹雪が激しくなっていきます。「普段見るのと真逆な景色だね~」「こういう雪を長野の方言で上雪(かみゆき)っていうのよ」なんて、見送りに付いてきてくれた母と呑気に話しながら新幹線に揺られていました。

頭上の電光掲示板には、しきりに「東京で積雪 早めの帰宅を」と案内が流れます。「これはえらいことになりそうだ」と不安を覚えつつ、「まぁ、成田は東京じゃないし」とまったく根拠不明な理屈でもって自分を奮い立たせながら、そのまま空港に向かいました。

 

最初のアナウンスは「2時間遅れます」

雪はどんどん激しさを増していましたが、京成スカイライナーは定刻通り空港第1ターミナルへ到着。欠航などみじんも疑わず、早速搭乗手続きをしました。シアトル行きの搭乗ゲートは、58のbでした。第一ターミナル南ウイングのいっちばん端っこです(後から振り返ると、これも災難でした)。

搭乗開始時刻の17:50頃、アナウンスがありました。

「現在雪の影響で、除雪作業を行っています。出発時刻は20:15頃になります」

「えー、2時間も遅れるの!」とがっくりする一方で、「まぁ、こんな雪じゃ仕方ないよな」と納得する気持ちもありました。周りの人も、同じような心情だったのではないかと思います。遅延を告げるアナウンスに対し、遠慮がちなため息こそ漏れつつも、不満の声は上がりませんでした。

実際、外はごうごうとすさまじい猛吹雪。滅多に見ない景色をバックに、仲間と楽しく記念撮影している人たちも見かけました。私も含め、この時点で欠航を疑う人はあまりいなかったのではないかと思います。

大雪の日。成田空港の窓から外を伺う人々

窓から外を伺う人々。

 

ついに「欠航」

そんなこんなで予定の2時間を過ぎ、あれ、まだ搭乗開始にならないぞ、と胸がざわざわし始めたところで次のアナウンスがありました。

「除雪作業にまだ時間がかかっています。次のご案内は21:15頃になります」

えー! また延期? 今度こそ、不満そうな声がそこかしこから上がりました。また私のおぼろげな記憶によると、このときのアナウンスでは「出発時刻は21:15」とは告げられませんでした。ご案内は21:15とだけ。これを聞いて、「今日ほんとに飛ぶんかな」との不安がむくむく膨れ上がっていきました。

ひとまずお腹が空いたので、その後に備えて買い出しへ行くことにしました。58bゲートから売店までは、歩いて5分ほどの道のり。ムービング・ウォークと逆行しながら重たい足を進めると、ああ無情、すべての売店が閉まっていました。このとき、時刻は20:30。空港のお店が閉店する時間でした(雪の影響もあって、早めに閉めたお店もあったのかもしれません)。

幸い、食べ物と飲み物の自動販売機はあったので、メロンパンと水を買って58bゲートへ戻ろうとしました。すると、なにやら不穏なアナウンスが聞こえたのです。

「●●行きの△△便は、雪のため引き返し……」

なにー! 飛び立った便も途中で引き返してるの? じゃ、今から(恐らく)飛ぼうとしている私たちのやつなんか、もっと飛ばないじゃん。このアナウンスを聞いて、「欠航」の二文字がようやく頭に浮かびました

58bゲートは、前述のとおり他のゲートとかなり離れていて、こうした他の便の様子がまったく伝わってこなかったのです。売店からも遠いし。待ち合い席では、のほほんとしたバラエティ番組が流れてるし。そのため、私も含めて乗客の多くは「まさか欠航なんてことはないだろ」と、危機感が薄かったのだと思います。

21:15の「ご案内」も、「まだ飛びません」でした。次の案内は22:00頃、とアナウンスの遅延を告げるアナウンスが虚しく響きます。

そして、22時ちょっと前だったでしょうか、ついに「欠航」を告げるアナウンスが流れました。ほどなくして、登録していたメールアドレスにも「フライトがキャンセルになりました」と連絡がありました。

 

フライト振替は自分でしてください

欠航と聞いて、周囲は大ブーイング。同時に、「やっぱり」の声も。さあ、ここで様々な疑問が上がります。

今夜のホテルは?

電車は動いてるの? それともバスで移動?

明日は飛ぶの?

エトセトラ。

私はアメリカの自宅へ帰るのだから、いつになろうとも飛行機には絶対乗るのですが、周りには「向こうの会議に行く予定だったから、遅れたら意味がない。払い戻ししてほしい」と頼む人もいました。「どうしてくれるんだ!」と激高する人も(怒ったって仕方ないでしょうにね)。それぞれの事情を抱え、人々は混乱状態に。そこへ、しごく冷静に事務手続きの方法を告げるアナウンスが続きます。それによると、

・航空券の振替は、窓口または電話で対応します。ご自身でしてください

・旅行代理店などを通して購入した場合は、その代理店で手続きしてください

えー、全部自分でやれってこと? と思いますが、各自で状況が違うから仕方ないのでしょうね。ちなみに、欠航に伴う交通費や宿泊費も自己負担ということでした(そんなアナウンスはありませんでしたが、同時にチェックしたANAのサイトによると)。

続けて、

・空港周辺のホテルはすべて満室です

・明日も飛ぶかわからず、最新情報をチェックするためにも、空港で待機していただくのが望ましいです

・数に限りがあるが、寝袋の用意があります

とのアナウンスがあり、「マジか」とそこここで落胆の声が。「寝袋」とアナウンスされたとき、いちばん不満の声が上がった気がします。私も、隣の人と「ホテルは用意してくれるでしょうね」と話していたので、空港泊と聞いて、絶句。

さらに、こんな説明がありました。

・これから出国取消の手続きをします

免税店で買った商品の消費税を払っていただく可能性があります

なるほど、出国手続きを終えたあとのエリアは、日本でも外国でもない不思議な場所。だから日本の税金を払わなくていいんですが、あれは「飛行機で外国へ行きますよ」という前提のもとで免除されているのですね。

などと感心できるはずもなく、「欠航で空港泊のうえ、税金まで払うのか!」と狭い心がささくれだったのでした(税金、結果的には払いませんでしたが)。

 

振替のため、窓口には長蛇の列が

その後、新たな連絡がないまま小1時間が過ぎました。スタッフにあれこれ問い合わせる人、どこかへひっきりなしに電話する人、弱りましたねぇと世間話を始める人、スパッと切り替え仮眠をとる人、さまざまです。

ようやく、「ただいまから出国手続き取消へご案内します」とアナウンスがありました。疲れた体を奮い立たせ、もと来た道を引き返します。成田をよく利用する人ならおなじみ、いつもなら心温まるはずの「おかえりなさい」の文字が見えて、「こんなに早く帰ってきちゃったよ」とやさぐれ感が高まります。

出国審査を終え、バゲージ・クレームで荷物を受け取り(そう、荷物もいったん受け取らなければいけなかったんです)、税関を通って(ほぼスルーで免税分の支払いもなし)、ターミナルの外へ出ました。

さあ、ここからが大変です。フライト振替を希望する人は、ANAの窓口で手続きを行わなければいけません。しかし、窓口には長蛇の列。私はアメリカにいる夫にANAへ電話をしてもらって、いち早く振替ができました。「日本の窓口に電話したけれど、パンク状態でつながらなかった」という声も聞いたので、日本以外の窓口で電話振替できたのはラッキーだったかもしれません。

パスポートに押された「出国中止」のスタンプ

パスポートには、「出国中止」のスタンプが押された

 

冷たい床に、段ボールを敷いて

次は、寝る場所の確保です。

私は1歳の子どもを連れていたので、特別に有料ラウンジへ通してもらえました。5レーンの25メートルプールくらいの空間に、二人掛けのソファーが8脚、三人掛けのソファーが4脚ありました。ソファーはすでに人で埋まっていたので、提供してもらった寝袋にくるまって床に寝ころびました。床、固い。それに狭くて足が伸ばせない

しかし、贅沢は言えません。大半の人は、だだっ広く寒い出発ロビーなどで段ボールを敷いて寝たのですから。有料ラウンジは半分が外国人、半分が日本人という感じで、その多くが高齢者か子ども連れでした。車いすの方もいました。言葉がよく通じないところで体を丸めて寝なければいけないなんて、どんなに心細いだろう、と胸が痛くなりました。

本当に、外国の人にとっては災難でした。「これから母国へ帰るところ。日本円なんて一銭も残していないし、連絡手段もない」という人もいれば、「アメリカから中国へ向かうところで、日本はただの乗り継ぎ地だった」という人もいました。

こうした惨事に遭っていちばん強く感じたのは、情報がないことが、いかに不安か。ANAのアナウンスは日本語→英語の順に行われましたが、英語でもすべてが説明されているわけではなく、日本語を解さない人にとっては何が起こっているのか把握しづらかったろうと思います。

空港や航空会社の職員さんたちも、大変だったでしょう。普段はアルカイックスマイルを絶やさないANAのグランドスタッフさんの顔から、その夜だけは笑みが消えていました。「今夜はどうされるんですか」と恐る恐る訊いてみると、「さぁ、終わりが見えないので……」と目を伏せていました。タイトスカートとヒールで一晩中動き続けなければならない彼女たちは、お客さんのクレーム・やり場のないイライラをいちばん受ける立場でもあります。

また、一段落してから確認したNHKニュースによると、「除雪作業を終えるなどして、23日午前0時18分にいずれも(滑走路の)運用を再開した」ということでした。あの吹雪のなか除雪作業が続けられていたのだと思うと、それにも頭が下がります

私といえば、寝袋と一緒にもらった災害用クラッカーをすきっ腹に収めて、横になりました。

(ちなみにクラッカーというのは、ナビスコ社のリッツでした。もう生産中止しているようですが。海外書き人クラブお世話係の柳沢さんに「ミールクーポンは出たのですか?」と尋ねられましたが、そんなサービスは当日も翌日もありませんでした。他の人にも「ごはん出なかったの?」と驚かれましたが、このときの心境としては、もう、何か口にする物がもらえるだけでありがたかったのです)

このとき、午前2時。長い一日がようやく終わりました。

※突然ですが、海外書き人クラブお世話係の柳沢有紀夫の乱入です。

じつはこの2週間前、羽田発シドニー行きのカンタス空港便が2時間ほど遅延になったときには、空港カウンターで2000円分のミールクーポンが配られました(飲食店でのみ使えて、コンビニはNGのようです。またアルコールには使えないとのことでした)。

対応は航空会社によって違うのか、はたまた自然現象が原因の場合とそうでない場合で異なるのか不明ですが、「こんなこともある」という例として報告しておきます。

以上、柳沢有紀夫の乱入でした。

 

翌日はほぼ問題なく出発

大雪の日の翌日の成田空港

昨夜の出来事が嘘みたいに思える青空。ただ、展望デッキは雪で立ち入り禁止になっていました。

 

翌朝は、眩しいほどの快晴でした。「有料ラウンジは午前8時までに出てください」と言われていたので、のろのろ重い体を起こして外に出ると、カフェも書店も薬局も普段と変わらぬ様子で営業していて、目を疑いました。きれいにメイクして、ルンルン買い物している人たちもいっぱい(最初から23日のフライトに乗る予定だった人が、今到着したのでしょうか)。たった数時間前の猛吹雪が夢だったみたいです。

ただ、疲弊した様子で床に座り込んでいる人たちも大勢いて、昨日の悪夢が現実だったことを教えてくれます。

「今日するはずだった商談がダメになった、どうしたらいい」と苛立ちながらどこかへ電話するビジネスウーマン。

「ホノルルへ旅行に出かける予定だったのに」と疲れた顔を見せる、6歳と4歳の子どもを連れたご夫婦。

「シンガポールに単身赴任している夫を訪ねるところ」だという、乳児を抱えたお母さん。

「アメリカの親戚を尋ねに行く予定だった。長年飛行機に乗っているが、こんなのは初めて」という50代くらいの日本人のご夫婦。

「あたしたち旅行者はまだいいわよ。悲惨なのは、国内を移動していた人じゃない? 着替えも食料もないものね」とポジティブに語るのは、海外旅行を終えて日本の自宅へ帰る途中、足止めをくらったという女性。

当たり前ですが、いろんな人がいろんな事情を抱えて空港に集っているのだということをこのときほど実感したことはありませんでした。欠航組の間では不思議な連帯感も生まれて、普段より個々人の距離が縮まったように思います。

 

振り替えたフライトは、昨日と同時刻の18:15発。つまり空港に26時間くらい滞在していたことになります。

その出発時刻がまた18:45に延び、すわ、昨夜の悪夢再到来かと身構えたのですが、その後ちゃんと飛んでシアトルに着きました。めでたしめでたし。

 

欠航の可能性があるとき、私たちはどうしたらいいのか?

さて、乗る予定のフライトが悪天候などで欠航になりそうだと思ったとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。

こう言っては元も子もないですが、私が思ったのは「事前対策は何もできないな」ということ。航空会社でさえ「2時間後に飛べる」と思っていたのですから、素人が飛べる・飛べないを判断するのは難しいのではないでしょうか。また、ベテラン海外在住者の方々も「欠航で空港に泊まるなんて初めてだ」と口をそろえて言っていたので、「もしものために、泊まる用意を手荷物に」と準備する必要もないと思われます。

ですから大事なのは、欠航が決まった後の対応でしょう。

  • フライト振替・払い戻しをする際は、いち早く窓口に並ぶこと。
  • それより早いのは、家族など他の誰かに頼んで、電話振替してもらうこと。
  • 日本語の窓口がつながらなかったら、他言語の窓口も試してみること。

 

この記事が皆さんのお役に立てば、いや、立つ日が来ないのがいちばんなんですが、もしものときにお役に立てばうれしいです。
【文/大井美紗子】

(※記事の一部に誤りがあったので2018年1月28日に改訂しました)



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