オランダの穴場・中世の街を歩く旅

「アメルスフォールト」という町を聞いたことはありますか?
アムステルダムやロッテルダム、ユトレヒトなどと比べると知名度は低めですが、実は中世の面影が色濃く残る歴史ファンにはたまらない町なんです。観光客も少なめで、のんびりと落ち着いた時間が過ごせるのも魅力的。
今回は海外書き人クラブ新会員の伊藤りりかが、1年間この町で暮らして見つけたおすすめスポットや季節ごとの楽しみ方をご紹介します!

中世の街並みが美しい町

アメルスフォールトはオランダのほぼ中央に位置する町で、アムステルダムからも電車で乗り換えなしで最短約40分とアクセスも良好です。

実はこの町「The European City of the Year 2023(ヨーロピアン・シティ・オブ・ザ・イヤー 2023)」にも選ばれた注目の場所。

アムステルダムよりも古い歴史を持ち、1200年代の中世には貿易や宗教の拠点として発展。城壁に囲まれた都市として築かれた背景があり、現在もその城壁の一部が残っています。

運河や石畳の道、保存状態の良い建物が立ち並び、まるで中世にタイムスリップしたかのような景色を楽しむことができます。

おすすめ時期は春と夏

春はまだ少し肌寒い日もありますが、3月下旬頃になるとクロッカスの花が満開に。この紫の花が城壁の景色と重なって、本当に美しい光景が広がります。コーヒーを片手に、ぐるっと街を囲むように散策するのが私のお気に入りの過ごし方です。

4月から夏にかけては、運河を舟で巡るクルーズや町中を走る小さな観光列車のツアー(ホップオン・ホップオフ・トレイン)が始まります。どちらも地元のシニアの方々によるボランティア団体が運営しており、楽しそうに案内してくれる姿に参加するこちらも思わずほっこりしてしまいます。

「私もこんな老後を過ごしたいなぁ」なんて、ふと思ってしまうほど。

特に運河ツアーは1種類だけでなく4種類のルートがありそれぞれ違った景色を楽しめるので、つい全制覇したくなってしまいます。

事前予約も可能ですが、当日にチケットブースでの購入もOKです。 
★詳細は<こちら> Krommestraat 3, 3811 CA Amersfoort

注目スポット6選

アメルスフォールトの象徴「コッペル門(Koppelpoort)」

町の入り口にあるのがアメルスフォールトのシンボルとも言えるコッペル門。町の入り口に立つのが、アメルスフォールトのシンボルとも言えるコッペル門。町を流れる川にかかる水門と、陸路の通行を管理する門が一体となっているヨーロッパでも珍しい中世の建築です。

当時はこの門から船が出入りしていたそうで、そんな風景を想像するとなんだかワクワクします。事前予約制のガイドツアーに参加すれば、門の上部にあるかつての見張り塔の内部を見学することができます。さらに、運河ツアーでは水門をボートでくぐるルートもあり、水上からその迫力と歴史的風景を楽しむことができます。
★詳細は<こちら> De Koppelpoort,Kleine Spui, 3811 MG Amersfoort 

アートと歴史を楽しめる「フレーヒト博物館(Museum Flehite)」

コッペル門をくぐると正面に見えるのがフレーヒト博物館。かわいらしい外観の建物は1500年代に建てられ、博物館としてのオープンはなんと1880年だそう。常設展に加え季節ごとに変わる特別展もあるので何度訪れても楽しめます。

★詳細は<こちら> Westsingel 50, 3811 BC Amersfoort   

高さトップ3にランクイン「聖母塔(Onze Lieve Vrouwetoren)」

オランダで最も高い教会塔トップ3のひとつに数えられるのが聖母塔(約98m)です。

1450年頃に建設が始まり、1500年頃に完成。教会本体は18世紀の火薬爆発で消失しましたが、塔だけは現在も残り町のランドマークとなっています。

塔の内部にはオランダの中心点を示すスポットがあり、346段の階段を上って塔の頂上から絶景を眺めることもできます。

★塔に上るには<こちら>から事前予約が必要です。 
Lieve Vrouwekerkhof,3811 BN Amersfoort


土曜日の楽しみ「ホフ広場のマーケット」

毎週土曜日にはHof plein(ホフ広場)で、果物や野菜、花などのマーケットが開催されます。広場に面したテラス席のあるレストランで、マーケットを眺めながらランチを楽しむのが私の週末のお気に入りでした。

★ホフ広場への地図は<こちら>


800年の歴史を持つ「セント・ヨリス教会(St Joriskerk)」
このホフ広場に建つのが、セント・ヨリス教会。なんと13世紀からこの地に建っており、時代とともに形を変えながら今も町の中心に位置し続けています。

「聖ゲオルギウスがドラゴンを倒す」という伝説を再現したからくり仕掛け(馬に乗った小さな像が登場し、ドラゴンを槍で仕留めます)があるのですが、タイミングを合わせるのが難しく私も1年間住んでいて見られたのはたった1度でした(笑)。現地でこそ味わえる「見どころ」なので、ぜひタイミングを狙って見に行ってみてください!

★詳細は<こちら> St. Joriskerk, Hof 1, 3811 CJ Amersfoort


抽象画の巨匠「モンドリアンの生家」

「赤・青・黄のコンポジション」で知られる抽象画家ピート・モンドリアンが生まれた家もアメルスフォールトにあります。彼が8歳まで過ごしたというこの家現在は博物館として公開されていて、モンドリアンの作品に触れることができます。

★詳細は<こちら> Kortegracht 11,3811 KG Amersfoort

筆者のお気に入りカフェ・雑貨屋さん  

Amersfoorts D.I.E.P. 

朝から営業しているので朝食スポットとしてぴったりです。ここでコーヒーとパンをテイクアウトして、街をぐるっと散歩するのが私のお気に入りの朝のルーティンです。

★お店のインスタグラムは<こちら>

Juffrouw Jacoba 

なんといっても、外観がとってもかわいいガレット&クレープ屋さん。夏は運河に面したパティオ席でのんびり食事をするのがおすすめです。 
★お店のインスタグラムは<こちら> 

Bij Sophie Amersfoort


運河沿いにあるテラス席からは道行く人々や水辺の風景を眺めることができ、ランチやディナーをゆっくり楽しみたい方におすすめのカフェです。

★お店のインスタグラムは <こちら> 


VVV Amersfoort (アメルスフォールト観光センター) 

観光案内所として情報提供をしてくれるだけでなく、アメルスフォールト限定グッズがたくさん揃っていて私は雑貨屋さん感覚で楽しんでいました(笑)。

特にお気に入りなのが限定デザインボトルと、オランダのナショナルカラー・オレンジにアメルスフォールトのアイコンがちりばめられたマフラーです。

この町でしか手に入らない、ちょっとユニークでかわいいアイテムが多くて、つい集めたくなっちゃいます。

★VVV Amersfoortへの地図は<こちら>

町を散策するだけでもロマンを感じるアメルスフォールト。 特に歴史好きの方には本当にたまらない町です。オランダ旅行の際はぜひこの中世の街にも足を運んでみてください!

(文・写真 伊藤りりか)

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