【死語辞典】(60年代「ア行」の死語まとめ)

酒のみの彫刻のフリー素材

海外書き人クラブがお届けする『死語辞典』。「1960年代」に流行った死語とは? そのうち「ア行」から始まるものの意味と用例・用法をまとめました。

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アウフヘーベン

完全なる死語だと思っていたら、小池都知事が使って2017年の流行語大賞にノミネートされた。やっぱりナウでヤングだね、小池さんは!

意味は……あれこれむずかしい説明がなれているけど「とりあえずダメ出ししておくけど、あとでこっそり持ち出して使うこと」と「お互い矛盾するA案とB案を合わせたごちゃまぜ折衷案をつくって、なんとなく解決したつもりになること」……なのかなあ。なんだかなんかよくわからないけど、若手社員のみんなが心の中で「あのクソオヤジがっ!」と罵倒している上司や先輩がよくやっていることの総称だと思うよ。

正直言ってこの言葉は私の中ではうまくアウフヘーベンできてないから、みんなが各自でアウフヘーベンしてくれるとうれしい。……まあ、用例はこんな感じ。なんでもいいから「アウフヘーベン」って言葉を使うと、なんだかいいこと言った気分になれたんだね。

今使うとしたら、たとえばまだそういう関係ではない女性とバーのカウンターに並んで飲みながら「今晩キミと二人でアウフヘーベンしたい」とか。またはすでに長いことそういう関係にいる人と「このまま二人でいることよりも別の道を歩くほうが、お互いがアウフヘーベンすることになると思う」とか。はたまた乗り気でない女性に「キミは僕が嫌いかもしれない。たけどそれを乗り越えることがキミにとってのアウフヘーベンになるんだよ」とか「生まれも育ちも趣味も嗜好もまったく違う僕らが結ばれることで、世界はアウフヘーベンするんだよ」とか。

……ヤバい。なんだか『アウフヘーベンな二人』っていう『なんとなくクリスタル』みたいな小説、書きたくなってきちゃったよ。

まあ、とにかく。なんだかわからないけど、気が利いたこと言ってる風に聞こえる魔法の言葉、それがアウフヘーベン! 今風にいうとまさに無双だね。

【関連語】 バームクーヘン(←ウソ)

あたり前田のクラッカー

コメディ時代劇『てなもんや三度笠』(1962年~)の番組オープニングにて、主人公の藤田まことが番組スポンサーである前田製菓の「ランチクラッカー」を手にしながら、「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」と言うCMから人気が出た。「あたり前」と「前田のクラッカー」をかけた今から見ればあまりにもベタなオヤジギャグだが……CMコピーで連呼されるとなんとなく面白くなってきちゃうもんだね。たぶんつくった人も流行するなんて思わなかっただろうね。

アチャー/アッチャー

失敗を表わす間投詞。「あーあ」に近い。

用例は「アチャー。やってもうた!」。

perfumeの一人とか、AKBの元絶対的センターは関係ない。

アッと驚く為五郎

テレビのバラエティー番組『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』(1969年~)内で、クレージーキャッツのハナ肇さんが発したフレーズ。独特の節回しがあるので、60年代以前に生まれた人に聞いてみてほしい。

意味は「驚いた」。

【類義語】 ビックリしたな~、もう。

アンパイ

「安全牌」の略。「安全牌」は麻雀用語で、「振り込む可能性のない牌」。転じて「毒にも薬にもならない」「益も害もない」「眼中にない」状態、またはそうした人のことを指すようになった。

たとえば「結婚? 冗談じゃないわ、あんな収入が高いだけのブサイクな男と。うーん、でもアンパイとしてキープしておくのもいいかな」とか。または「得意先の手前、一案だけってわけにはいかないからさ。悪いけど、アンパイみたいな案も一つ、つくっておいて」とか。最初の例も2番目の例も、結局はアンパイのほうに決まる傾向にある。安全第一なんだね、日本人って。

「安全」で思い出したけど、送りオオカミになる気満々のときに、「あなたなら安全だから」と言われると、うれしいような悲しいような気分になったよね。

イケイケドンドン

どんどん行け!」から転じた言葉遊び。語源は富国強兵の時代からとか諸説あるが、60年代に一世を風靡したバンド、ベンチャーズの曲の邦題に「行け! 行け! ドンドン」というのがあるらしい。おそらくこのあたりから一般によく使われた高度経済成長をよく表す言葉だと思う。

意味は……「失敗なんてするわけないから、勢いよく進みましょう!」とか「やったモン勝ちですよ!」みたいな感じ。

用法は「部長、ここはもうイケイケドンドンでしょう!」(と決断を迫る)とか、「あの人はイケイケドンドン(なタイプ)だからなあ」とか。後者は「理論とか冷静さがない」という意味だね。まあ、言ってみれば体育会系が標準装備していた気質だね。

仕事以外にも「オレ、あの娘に告白するよ。イケイケドンドン、当って砕けろ、だ」とか。……本人の予言通り砕けちゃったヤツも多いが、基本的にはずうずうしいくらいイケイケドンドンのほうが、いい結果が得られることが多い。美人って「どうせオレなんか相手にされないよ」とハナから諦めるヤツが多くて、意外と告白されないらしいから。

ちなみにかつて「私、ぜーんぜん持てないんですよ。声をかけてくるのは妻子持ちのオヤジばっかりなんです」と、なぜかすでに妻子持ちのオヤジであった私に酔っぱらってしなだれかかりながら相談してきた恐ろしくきれいな女の子がいて、私の頭の中では〈これっていうのは……もしかして……ダメだよ……いいじゃん……ダメだって……黙れ〉と、天使くんと悪魔くんが総力戦を繰り広げたことがある。悔しいことにそのときは天使くんが僅差で勝利を収めてしまったが……一人で帰る電車の中で彼女から届いたメールがただひとこと「弱虫」。…………安心してっちょ。ぜ~んぶ創作だから。

あと、個人的にはテポドンとかに対抗して、迎撃ミサイル「イケドン」を開発してほしいな。

イチコロ

「一発でコロッとやられてしまう」の略語

用例は「私の美貌にかかれば、あんな男なんてイチコロよ」とか。あのな、本当に美しい人というのは、そんな風な生意気を心に思うことすらないんだよっっっ!

……なぜ本気で憤っている、私?

どんな害虫もイチコロ!」みたいな言い方もある。

インド人もびっくり!

「そう、カースト制など足もとにも及ばないほど、南アフリカの人種差別政策はひどかったのです」……という話ではない。

ヱスビー食品(「エスビー」じゃなくて「ヱスビー」なんですね、登記上の名称は)の「特製ヱスビーカレー」のCM(1964年~)のフレーズから。インド人に扮した芦屋雁之助さん(←今じゃこの時点でアウトだね)がカレーを食べ、あまりにおいしくて飛びあがり、このフレーズを叫ぶというもの。本物のインド人じゃなくて、芦屋雁之助さんが扮しているあたりが、時代を感じさせる。『王様と私』でタイ人の王様に扮したユル・ブリンナーにまったく引けをとらない。まあ、ユル・ブリンナーは4分の1、アジア系らしいけど。

もしもあなたがインド人なら毎日でも使いたいマストアイテム。パキスタン人やバングラデシュ人、スリランカ人でも利用価値大。ただし「インド人もびっくり!」「お前、インド人、ちゃうやろ!」ときちんとツッコミを入れてくれる人がまわりにいることを確認しておくこと。または「インド人もびっくり! あっ、オレ、パキスタン人だった」と、すかさず自分ツッコミを入れるとか。そうじゃないと、関西に行って「どこから来たの?」と聞かれたとき、平気で「東京」と答えてしまう「東京人のフリをする群馬県人」と同類だと思われるからね。

それとじつは亡くなる前に一度でいいから芦屋雁之助さんにインド人風衣装ではなく、ランニングシャツ&サンダル姿で、「いいいインド人も、びびびビックリなんだな」とつぶやいてほしかった。合掌。

ウハウハ

すっごくうれしい様子。特に金銭的に大儲けしたときに使われた。「万馬券当たっちゃって、もうウハウハ」。でも本当に大儲けしている輩は、顔には口にも出さず、心の奥底だけでウハウハする。

あと女性関係で嬉しいことがあったとき。「あのあとデルモの姉ちゃんと、コレもんでコレもんのもうウハウハ」とか。「おい、あれ」とか「ねえ、あの……」とか間投詞と指示代名詞だけで会話が成立しちゃう長年連れ添った夫婦かよっ!

大蔵省

「そうそう、大蔵省は死語だよねー。今は財務省って言うんだよねー」という話ではない。

大蔵省とはこの場合「奥さん」「妻」のこと「奥さんが財布を握っている」→「奥さんが予算配分を決める」→「奥さんがわが家の大蔵省」という発想。ということであれば本来は奥さんのことを「衆議院予算委員会」と言うべきだけど、それが「大蔵省」になるあたり日本が官僚主導型政治だってことを如実に表しているよね。えっ、関係ない? そうかなあ。

用法はたとえば「うーん、わが家の大蔵省に相談してみないと……」とか。またゴルフコンペなどに誘われたとき、「うーん。じゃあ今晩、わが家の大蔵省に陳情してみるよ」とか。この「陳情」っていうのはお布団の中で大ハッスルすることね。

ちなみに私がオーストラリアでちょっと大きな買い物を一人でするとき、「念のため携帯で『わが家のボス』に許可を取るね」というと、男の店員はたいていニヤッとしてくれるので、この辺の感覚は古今東西、変わらないのかもしれない。

そう言えば大学時代のバイト先の先輩で、東大法学部を極めて優秀な成績で卒業したんだけど、「大蔵省じゃ2番目の成績で入省することになって先が知れてるから、トップで入れる別の省にしたよ~」と言う人がいたなあ。そのときだね、「ああ、秀才じゃなくて良かった」とつくづく思ったのは。

おシャカ(になる)

語源は「お釈迦様」。「お釈迦さまになる」⇒「仏さまになる」⇒「死ぬ」という意味から転じて、「ボツになる」「廃案になる」「無に帰す」ということ。「ああ、あの案はおシャカになったよ」とか、「あのプロジェクトは、もうおシャカだよ」とか。そう言われたら「ジーザス!」または「オー・マイ・ゴッド!」と返すのも、「神つながり」で一つの手かもしれない。

オチャケ

お酒のこと。タラちゃん風の幼児語化して誤魔化そうとしたったダメなものはダメなんだけどね……。

用例は「もう一杯。ねえ、もう一杯だけ。お願いします。オチャケくだちゃい」とか。

オチャラケ

生演奏ではなく、録音された伴奏に合わせて歌うこと、またはその場所。はい、ここで「そりゃ、カラオケだろっ!」というツッコミを入れてください。……というのが、オチャラケの一例。つまり「おふざけ」の意味

用例は「オチャラケてないで、真面目に話を聞きなさいっ!」とか。

幼稚園児だったころの私は、他の子たちに比べて、この言葉を使用される頻度がズバ抜けて高かったが、大人になった今は、さすがに言われなくなった。最近は「悪ふざけばかりしてないで……」が多いかな? オチャラケが死語になっただけなんだね。三つ子の魂百まで、だ。

「お呼びでない?」

植木等さんが流行らせたフレーズだが、歌詞からではなく、当時人気のあったバラエティー番組「シャボン玉ホリデー」(1962~1971年)から。毎回場違いなシチュエーションに現れて、まわりの人たちから白い目で見られているのに気づかないのだが、しばらくしてから何やら様子がおかしいことに気づき、顔色をうかがいながら口にする。「お呼びでない? お呼びでない? ……こりゃまた失礼いたしましたっ」がフルコーラス(←歌じゃないけど)。

若い人にオススメしたい使用方法としては、重要な会議にわざと遅刻して行き、鼻歌交じりに入室。周囲の白い目に気づいて初めて、「お呼びでない? お呼びでない? ……こりゃまた失礼いたしましたっ」。会社からお呼びでなくなるのは必至。……これじゃあ、自虐ギャグじゃなくて、自縛ギャグだね。

 

※ 【死語辞典】死語まとめ 一覧ページをつくりました。左記をクリック!

※ このページのいちばん下に【『死語辞典』のチョベリグな使い方】を記しました。そちらもぜひご覧ください。

 

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『死語辞典』のチョベリグな使い方

 

1) 1950年代から2000年代にかけての死語の「意味」「時代背景」ドンピシャリと解説。「用例」も極力ワンサカ載せます。

2) 画面上のほうのメニュー欄の「死語辞典」にカーソルを合わせると、年代ごとの死語がモロ見えになります

3) 画面右側の「検索機能(虫眼鏡マーク)」に知りたい死語を打ち込むと、バッチグーな答えが得られます。

4) 世代が違う方とのコミュニケーションギャップも、パーペキに埋められます。飲み会が「どっちらけ~」になることも避けられます。

5) 死語の解説は、管理人の独断により行っています。偏りは重々承知の助。どうぞ許してチョンマゲ! (間違いのご指摘はお待ちしております)

6) 「こんな死語もある」というご投稿もウハウハ大歓迎です(すべて反映するとは限りませんが)。なお、著作権は当ブログの管理人が持つものとします。

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