【グアテマラ在住ライター直伝】「常春」の国! 中米グアテマラから「春の花便り2種」

グアテマラの風景

常春の国にも春が来るって、ホント!?

こんにちは、はじめまして、海外書き人クラブ常春の国グアテマラ支部の草野あずきです。

グアテマラというと、「なんか暑そう」というイメージじゃありませんか? 年中太陽がさんさんと輝く南国で、みんな踊って暮らしている、みたいな。実際、北緯14度のこの国の海岸地方はそんなところです(踊って暮らしているかどうかは不明ですが)し、海岸じゃなくても年平均気温が27度、長袖いらずのサカパなんて町もあります。ちなみにこのサカパ、ロン・サカパ・センテナリオというラム酒の産地としても有名です。

一方、首都グアテマラシティーは標高1500mと、日本で言えば上高地と同じくらいのところにあります。朝晩は冷え込むこともあるものの、日中は汗ばむ陽気となる高原気候で年平均気温は19度程度と快適この上なし。グアテマラシティーの他、昔首都であったアンティグアや「世界一美しい湖」アティトラン湖もほぼ同じ標高にあることから、ついたキャッチコピーが「常春の国」なのであります。

実際に1年365日のうち360日ほどは太陽が顔を出す、春のような国ではあるのですが、12月から1月は最低気温がグンと下がる時期でもあります。アメリカの東海岸を寒波が襲うと、その寒波はメキシコ湾を超えてユカタン半島を北から南へと南下するのですが、そこにちょうどあるのがグアテマラ。強烈に冷たい北風が吹いたり、気温が下がったりで、首都圏で最低気温が10度程度、西部高地では零下となることもあります。それでも暖房ないんですよね、グアテマラ

もっともそんな寒い時期があるからこそ、常春の国にも春はやってきます。例年2月初めに咲き始めるジャカランダやマティリーグアは、そんな春の訪れを告げる花。暖かい日も多かった今年は1月の後半からちらりほらりと花の姿も見え始めています。そんな陽気に誘われて、私もグアテマラの春を探しに行ってみました。

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1. ジャカランダ

Jacaranda
photo by xiroro on Flickr, licensed under a Creative Commons: CC BY-NC-ND 4.0

青い空に美しく映える紫色のジャカランダスペイン語ではハカランダと呼ばれるこの木は、アメリカ大陸の亜熱帯地域が原産で、グアテマラでは標高1500m前後の地域で見られます。

暖かい日が続いたせいか今年は既に葉が出ている木が多いのですが、例年なら葉が出る前に木全体がこんもりと紫色に染まります4月初めまで咲き続けるジャカランダは、特にユネスコの世界遺産でもあるアンティグア市のイースターには欠かせない花でもあります。

イースターの40日前の「灰の水曜日」からイースター当日までの四旬節の間、アンティグアではカトリック教会のプロセシォン(御輿行列)が行われるのですが、行列の通る道には着色されたおがくずや花などで作られたアルフォンブラ(絨毯)が敷き詰められています。

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photo by xiroro on Flickr, licensed under a Creative Commons: CC BY-NC-ND 4.0

こちらがおがくず製のアルフォンブラ。すみません、人混みのアンティグアに行くのがどうも億劫で、写真はグアテマラシティのです。

四旬節の間、小さなアンティグアのいくつもの教会からプロセシォンが出て街中を練り歩くので、本当にどこもかしこもアルフォンブラだらけ。こんなに見事なアルフォンブラなのに、御輿が通った後はお掃除隊がホウキで履いて清掃してしまいます。御輿が通るたった一回のために何時間もかけて作られるアルフォンブラも、グアテマラ独特の「花」と言うことができるかもしれません。

地面のアルフォンブラと樹上のジャカランダの花。ジャカランダの紫はカトリック教会の改悛を表す色でもあり、この時期には欠かせない花なのです。もっともグアテマラの3月は気温も上がって「夏」になってしまうのですが。

 

2. マティリーグア

ジャカランダに少し遅れて咲き始めるのがこの花。今年も少し咲き始めているようですが、花が少しだと寂しいので去年撮った満開の写真を載せてみましょう。

Matilisguate (Tabebuia rosa)
photo by xiroro on Flickr, licensed under a Creative Commons: CC BY-NC-ND 4.0

遠目から見るとまるで桜のように見える花ですが、ジャカランダと同じノウゼンカズラ科の花です。グアテマラのお隣エルサルバドルの国花でもありますが、エルサルバドルではマキリシュア(maquilishuat)。グアテマラではmatilisguateと書くので字面通りに読めばマティリスグアテなのですが、発音はなぜかマティリーグア

いかにも春らしい花で、「グアテマラ桜」と呼ぶ日本人もいたりします。もっとも花は大ぶりで、ポトリと落ちる様子は桜の可憐さとは大違い。

Matilisguate
photo by xiroro on Flickr, licensed under a Creative Commons: CC BY-NC-ND 4.0

ジャカランダ同様花期が長いので、長い間楽しめる花ではあるのですが。

年中同じ花がずっと咲き続く常春の国で、季節を感じさせてくれる花はそう多くないのですが、このジャカランダとマティリーグアはグアテマラシティを始めとする多くの町で、まだ冷え込みの厳しい時期から咲き始める「春の花」となっています。

常春の国グアテマラから、一足早い春のお知らせでした。

【文:海外書き人クラブ 草野あずき】

(草野あずきさんがグアテマラ事情の本を出しました。このページのいちばん下に告知があるので、ぜひご覧になってください)



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『グアテマラ 遠くて遠い国』草野あずき著

グアテマラと言えば誰もが思い浮かべるコーヒーと、マヤの時代から愛飲されていたチョコレートについて触れた「コーヒーとチョコレートの国」、高邁な理想に現実がついていかない「バイリンガル教育の不思議」、愛してやまないが故に失望も大きい「サッカー、永遠の夢」、現役大統領を辞任に追い込んだ出来事を描く「民主主義の春、ふたたび」など、住んでいるからこそ見えるグアテマラを描く全十三編。遠くてそう簡単には行けない国だからこそ、まずは書籍で読んでみて! 在住二十数年となる著者が紹介する、一味違ったガイドブック。

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