バンクーバーやトロントといったカナダの代表都市に隠れ、影が薄めなこの街ビクトリア。でも実は素朴な魅力に溢れています。そんなビクトリアの魅力を海外書き人クラブの現地在住ライターの本橋怜子が紹介します。
まずはその位置から。カナダの南東部。アメリカとの国境沿いにバンクーバー島があります。その一番南にある小さな街がビクトリアです。
そしてこのビクトリア、人口はバンクーバーよりもずっと少ないですが、ブリティッシュコロンビア州の州都なんです。
ビクトリアと言ったらここ! 「インナーハーバーエリア」
北大西洋に面したこの港には漁船や観光船がゆらゆら。夏場は地元のハンドメイドショップやジュース屋さんも出店します。
港を取り囲むようにベンチが置かれているので、ひとりでほっとするも良し、誰かと談笑するも良し。そこに腰を下ろせば、ゆったりとした時間が始まります。
荘厳な「ブリティッシュコロンビア州議事堂」
ブリティッシュコロンビア州の州都であるビクトリアには、立派な議事堂がそびえています。入場料はかからず、無料の見学ツアーもあるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。
入口でセキュリティチェックがありますが、警備の方もフレンドリーな人が多い印象。私が行ったときは「ジャパニーズ! コンニチワ!」と挨拶してくれました。
外観の荘厳な雰囲気に相応しく、建物の中も洗練されていますよ。
リッチな雰囲気を楽しむ「フェアモントエンプレス」
次に紹介するのは世界各地に約70のホテルを持つフェアモントグループが運営する高級ホテルです。
良いお値段なので泊まるのは難しくても、ホテルの出入りは自由。
しれっと入って、中を見学しちゃいましょう。風変わりな形のシャンデリアや、アフタヌーンティーを楽しむ方々が見られ、こちらも何だかリッチな気分になれます。
おいしい空気でリフレッシュ。「ビーコンヒルパーク」
街の最南端に位置するこの公園は、広さ約74万平方メートルを誇ります。東京の代々木公園よりも広いです。
ここには庭園、サイクリングロード、原っぱなどの王道設備はもちろん、少し変わったものもあるんです。
その一つがピックルボールのコート。公園内を歩いていると、コーンコーンと音が聞こえてきます。
ピックルボールはアメリカで生まれのスポーツで、テニスと卓球を組み合わせたようなもの。コートの広さはバドミントンと同じで、ラケットは卓球の2倍の大きさ。カラッとした音の正体は、プラスチック製のボールです。
公園内にあるこのコートは使用料がかからず予約も不要。完全に一般開放されています。ラケットも貸し出されているので問題ありません。
仲間内で楽しむのも良いですが、地元の人に声をかけるのも旅ならでは。逆に地元の人から声をかけられることもあります。
ビクトリアの人たちは、にこやかでオープンマインド。その温かさに誘われて、あなたもきっと地元の方と交流してみたくなるはずです。
更に公園の奥へと足を進めると、現れるのが「ビーコンヒルチルドレンズファーム」。
この農場の目的は、動物を通じて市民や観光客の心の豊かさを育むこと。素敵な取り組みですよね。
入場料は寄付金制度になっており、基本的にはいくら払っても自由。一応運営者側からの提案として、大人6ドル、子供4ドルが設定されているので、分からない方はその金額をご参考に。気持ち良く農場の経営をお手伝いして、動物たちにも癒されちゃいましょう。
そして世界で一番高いと言われる「トーテムポール」が、じつはこのビーコンヒルにあります。それがこちら。
トーテムポールは北アメリカ大陸の先住民が、彼らの家の前、墓地などに立てた柱状の木造彫刻です。
ダウンタウンにあるビーガン専門料理店「グリーンクイジン」
歩き疲れたらここ!心と体を軽やかに満たすレストランです。
カナダは移民の国であるため、ベジタリアンやビーガン向けの食べ物やお店が見られます。その中でも私がこのお店を好きなのは、ビュッフェスタイルだから。好きなものを好きなように食べられるなんて、わくわくしちゃいますよね~。
肉や魚が無いなんてレパートリー少なそうじゃない?と思いきや、日替わりメニューが豊富。前菜からデザートまで、私は行くたびに新たなお気に入りを発掘しています。
肉や小麦、卵を使わなくても、こんなに色んなものが作れるんだ~って感心しちゃいますよ。
「こういうのっていいね」と思わせてくれる「番外編」
ビクトリアを歩いていると、不意に人のぬくもりに触れます。例えばこちらの「You’re awesome」と書かれた電柱。日本語だと「あなたは素晴らしい、最高!」という意味です。
私がブルーな気持ちで街を歩いていた時、急にこれが出てきて鼻水出ました。
なんか、すごい指さされてるし。でも絵の中のおじさんが話しかけてきている気がして、創った人センスあるな~と思いました。
どこの誰だか知らないけど、ちょっと救われたよ。ありがとう。
他にはどなたかの家庭菜園。
お庭でラベンダーを育てているようで、それを道行く人におすそ分けしてくれていました。写真にあるように、ハサミまで置いてあって、取っていいよ~って。
ありそうでなかった発想に、思わず感動。育てたのはグレイヘアの似合うマダムかな~なんて想像しながら、ほっこりさせてもらいました。
最後は街を歩いていると見かける、小さな箱たち。
実はこれ、本棚なんです。
その家の人たちが読まなくなった本を中に入れて、ご自由にどうぞと貸し出しています。古い本を閉まっておくでもなく、捨てるでもなく、良いアイデアですよね。
家庭ごとにペイントも様々で、家族できゃーきゃー言いながら作ったのかなと思うとほほえましいです。私もいつかやろうっと!
以上、静かで平和なビクトリアをシェアさせていただきました。この雰囲気を感じるには、現地に来るのが一番。ぜひ遊びに来て下さいね~!
(文・写真 本橋怜子)