【東京近郊日帰り登山】岩殿山と稚児落とし(山梨県大月市)

岩殿山登山道

東京から普通電車で行ける山で、「絶景」「超絶鎖場」「断崖絶壁」の3点セットが楽しめる。そんな穴場が、今回紹介する「岩殿山と稚児落とし」。中央線大月駅からバスにも乗らず登り始めて、大月駅に戻ってこられる周遊ルートです!

こんにちは。海外書き人クラブ所属・オーストラリアアウトドア部のユッキーです。今回は2018年3月下旬に訪れたこのコースの魅力をたっぷりお伝えしちゃいます。

 

1 岩殿山と稚児落としコースの登山ルートの説明

  • 大月駅前 → 見晴台 → 岩殿山頂上 → 見晴台 → 第1の鎖場 → 第2の鎖場 → 天神山山頂 → 稚児落とし → 大月駅着

普通はこういうときに記さない「見晴台」を2度も書いたのには理由がありますが、それはのちほど。あと2度出る「鎖場」にも注目してください。

今回はものすごく「ロールプレイングゲーム」な登山でした!

 

2 大月駅 → 岩殿山

11:50 大月駅前発

所要時間が3~4時間のコースとはいえ妙な時間に出発しているのは……じつは前回の記事で書いた「御前山・菊花山周遊コース」を先に登ってきたからです。こっちを後回しにしたのは……「御前山は午前中でしょ」という単純な理由。はい、「ゴゼン」つながりですね。

とにかくその「御前山・菊花山周遊コース」の記事でも書いた通り、おやつすら持ってこなかったたわけ者の私は大月駅前のコンビニで弁当とおやつを入手。駅前の店でランチを食べることもできますが、岩殿山が桜の名所らしいので……。

笹子川

 

途中の笹子川を渡る橋の上から。高度感にビビッてまともな写真撮れず。

岩殿山登山道への道

橋をわたってすぐに道は右に折れます行ったときはちょうど桜の季節でのぼりがいっぱい立っていました。岩殿山(いわどのやま)登山道までは標識が多くてわかりやすいです。

 

12:05 登山口入口

岩殿山登山道入口

登山道入口。ここでストックを出していたらガキンチョ、もとい少年たちにせせら笑われた気がしますが……オジサンは岩殿山ピストンじゃなくて、稚児落としを回る周遊コースだからね。しかもここに来る前に「御前山-菊花山」周遊コースを歩いているし。

写真奥の看板に「富士の眺めが日本一美しい街 大月市」というコピーが書かれていました。ただ証拠もないし、証明のしようもない話に「日本一」は公正取引委員会的にマズいんじゃないかと思いました。それと大月市を「街」というのもどうかな、と。

岩殿山登山道

本来の登山道が通行止めになっていてビビりますが……。

岩殿山登山道

「ふれあいの館」方面を進めばだいじょうぶです。

 

12:14 ふれあい館

岩殿山登山道

ほんの十分ほどで「ふれあい館」到着。何か展示してるらしいので入ろうかと思ったけど、スリッパに履き替えなきゃいけないようなので、面倒になってやめました。このふれあい館の前にベンチがあって、桜も咲いていて、そこそこ見晴らしもあります。ここでさっき大月駅前で買ったお弁当にしようかと思ったけど、「やっぱり頂上で」と考え直しました。

……けど、それが「浅はか」だった。後悔の理由はあとで明らかになります。

岩殿山登山道

「クマ・イノシシ出没注意」という愛らしい看板の横を進みます。単独行動のときには本当に勇気を与えてくれる文言です。

岩殿山登山道

つづら折りの登山道で、ず~~~~~と桜が満開。舗装されていたり階段になってたりと、歩きやすい道。とはいえぐんぐん高度をあげるから、それなりにキツいです。

岩殿山登山道

途中で見えるラスボス感満点で立ちはだかる断崖絶壁。……もちろんここを登るわけではありません。

ちなみにこの上が岩殿山の見晴台です。

岩殿山登山道

岩殿山の山頂付近は地形を活かした山城だったとのことで、あちこちにかつてそこに何があったかの案内が出てきます。当然のことながら舗装道なんてない時代に、こんな場所に山城を建てたのはすごいなあと、ただ感心。

さて、ここで問題です。岩殿山城を建てたのは誰でしょう。

……はい、「大工さん」ですね。この「○○城を建てたのは誰でしょう」は私がガキンチョのときに流行ったなぞなぞだけど、今でもあるのかなあ。と、余計な感慨にふけりしました。

 

12:41 見晴台

岩殿山見晴台

岩殿山見晴台

そして到着したのが、ここ。

岩殿山見晴台

柵はありますが、ハンパない高度感です。

岩殿山見晴台

よし、じゃあ山頂でお弁当……と思いきや、看板右上の「この先」の文字にご注目! ふと欽ちゃんの「バンザーイ……なしよ」を思い出しました。かなり間違いやすくて、ここが山頂と紹介されているブログもありますが、あくまでも「見晴台」です。

「634m」と標高まで書かれているのが紛らわしいです。

こので見晴台で食事をしている人が多かったです。「なんで頂上じゃなくてここで弁当を広げているんだろう」と疑問に思ったのですが……。

こんな中途半端なところで弁当は食えないと、とにかく山頂を目指します!

岩殿山見晴台

高度が高いほうが寒いから桜が咲くのは遅いとか思っていたのですが、前日までの強風で吹っ飛んだようです。

岩殿山見晴台

見晴台と山頂の間。戦国時代の城に想いを馳せながらここでのんびりと過ごすのもいいと思いました。

 

12:45 岩殿山頂上

岩殿山山頂

そしていよいよ山頂。「本丸跡」という凛々しき文字が燦然と輝きます。「天守閣から城下町を満足げに眺める城主」の気分になって、私もここで弁当を広げようかと思ったのですが……。

……なっ、ないっ!

いや、「弁当が」ではなく、「眺望が」です。

岩殿山山頂

これが岩殿山の頂上。「大月市 岩殿山無線中継所」の看板が出ていました。

わずか3分ほど手前の「見晴台」で人々がお昼ご飯を食べていた理由が、見事に判明! 誰も見晴らしゼロのところで弁当休憩にしたくないわな。

 

12:55 見晴台に戻ってランチ 13:15発

チャーハンと唐揚げ

というわけで見晴台に戻り、大月駅前のコンビニで買ってきたチャーハンとからあげのランチ。だけど電子レンジで温めてもらったチャーハンも、保温ケースで売られていた唐揚げも、かなり湿っていました

みなさん、覚えておいてください。電子レンジで温めてもらった弁当は1時間後にはしけってしまいます。……あっ、もう知ってた?

しかしよりによって「いちばんしけったらマズくなる2品」を選んだ私って……。

岩殿山見晴台

見晴台からは南側180度の眺望です。これが南東。

岩殿山見晴台

で、こちらが南西で富士山方面ですが、ガスっていました。さっき「富士の眺めが日本一美しい街 大月市」という看板をディスつた罰で、ガスったか?

 

3 岩殿山→稚児落とし

気を取り直して、稚児落としに向かいます。腹がいっぱいになれば、すぐに機嫌が直る私です。……はい、たとえそれがしけっているチャーハンと唐揚げでも。

昔知り合いの女性が「なんで男の人っておなかが空いたら機嫌が悪くなるんだろう」ってつぶやいていたことがあったけど、言い得て妙だと思います。

岩殿山から稚児落としへの登山道

見晴台から出発して、ほんの2分くらいで分岐点に。大月駅方面から登ってくるときはだいじょうぶですが、岩殿山から下ってくるときは見落としそうになるのでご注意を。

岩殿山から稚児落としへの登山道

「クサリ場のあるコース」の看板。ちなみに「危険」の文字は「Welcome!」と自動翻訳して読む。ただし他の自動翻訳同様、誤訳だらけなのはのちほど判明します。

岩殿山から稚児落としへの登山道

すぐに出てきた鎖場。「下りだけどなんだよ、ちょろいなあ」とタカをくくっていた私は、あとでひどい目に遭います。

「ラスボスか」と思っていた相手が、ただの10ポイントキノコだったパターン。

岩殿山から稚児落としへの登山道

またまた単独行を素敵なエールを送ってくれる「この付近にクマ出没」の看板。ちなみに岩殿山まではかなり人とすれ違ったけど、春休み期間中とはいえ平日の午後だったからか、そこから先は誰とも会わず。

岩殿山から稚児落としへの登山道

しばらくしてわかれ道。当然のごとく「鎖場」のほうを選びます。ちなみに「鎖場」はWelcome!と読みます。……しつこい性格です。

 

13:45 最初の鎖場

岩殿山から稚児落としへの登山道。鎖場

ここでタイツが破れて膝から出血していました。

だけど爽快!

岩殿山から稚児落としへの登山道。鎖場

「いやいや、楽しいコースだった」なんていうまるで1日を終えたあとのような感想が頭に浮かんできましたが、ここはまだ「中ボス」ですらなかった。

 

13:50 第2の鎖場(兜岩)

岩殿山から稚児落としへの登山道

すぐに表れる第2の鎖場への分岐点。ここからはもうその鎖場が見えます。

岩殿山から稚児落としへの登山道

この細い岩肌のトラバース! 横に鎖がなかったら怖くて進めない。

岩殿山から稚児落としへの登山道。鎖場

これが第2の鎖場! わかりにくくてすみませんが、ものすごい高度差。この時点で「わかりやすい写真を撮ろう」という気持ちは完全に消えてた。考えていたのはただただ「この鎖場、私は乗り越えられるのか」。

見たところ15メートルほどありそうです。先ほどの第1の鎖場で傷ついて大人になった私は、面倒くさがらずにストックをしまうことにしました(さっきはストックを持ったままの鎖場を登るという荒業)。

でも迂回の林道ルートではなく鎖場を選ぶのは、大人になり切れていない証拠ですね。

正直言って、「怖いな」と思った方や子連れの方は迂回路を選ぶのがいいと思います(ちなみに迂回しても「ラスボス」の稚児落としには行けます)。

 

14:16 天神山

岩殿山から稚児落としへの登山道。天神山山頂

鉄塔だけで広さも展望もない頂上。

岩殿山から稚児落としへの登山道

心地よい尾根道。

ここでは「なんだよ、なんだよ。さっきの鎖場がラスボスであとは消化試合?」なんて思っていたのですが……あとでとんでもないマジモンのラスボスが出てきます。

岩殿山から稚児落としへの登山道

また鉄塔があります。そのまままっすぐ踏み鳴らされた道があって間違いそうですが、「ラスボス」の稚児落としへはここを左に直角に曲がります。

 

14:28 稚児落とし

稚児落とし

そしていよいよ稚児落としへ。まずは「この先危険」の看板

稚児落とし

完全にビビッて近寄れなかったけど、この左側が断崖絶壁です。「危険は翻訳してWelcome!と読む」なんてバカなことを言ったのはどこのどいつだ?

ビビッた理由は断崖絶壁なだけでなく、下が砂利で足を滑らしそうと感じたことです。マジで足滑らせて、真っ逆さまに落ちたら……。

頭の中で中森明菜さんが「DESIRE -情熱-」を熱唱し始めています。

稚児落とし

すぐにこんな痩せた尾根に。両側は冬枯れの木々があるといえ断崖絶壁。この日はかなりの風が吹いていて、マジで怖かったです。

稚児落とし

そしてこれがさっきの反対側から見た景色。

このあたりも岩に砂利がたくさん乗っていてすごく滑りやすくて、おそろしく怖かったです、マジで

このあたりの感想は「怖かった」と「マジで」ばっかりです。

 

4 稚児落とし-大月駅

14:31 稚児落とし通過

稚児落としから大月駅へ向かう道

これから先は、基本的にくだりなのですが、こんな鎖場もあります。傾斜はさほど急ではないのですが、下が砂利でズルズルとすべるから。午前中の「御前山-菊花山」も、午後のこのコースも本当に砂利に悩まされました。

 

14:51 舗装路に到着

稚児落としから大月駅へ向かう道

稚児落としから大月駅へ向かう道

左側に川を見ながら進みます。舗装路を歩くとき、川があるだけと少し癒されますね。

 

15:13 浅利会館

ここからバスがあるけど、時刻表を見たらほぼ1時間に1本のような感じ。次のバスまで15分待つようなので歩くことに。

笹子川

笹子川にかかる橋から。右の断崖絶壁の上に建物があるがビビッた。

このあと中央本線、さらに富士急大月線の線路の上を超えてすぐに左に曲がると大月駅方面です。

 

15:30 大月駅着

大月駅はすごい外国人率。約8割。「リニア見学」なのかな? 列車も座れないかなあと覚悟していたら……みんな「ジャパンレールパス」という乗り放題切符(リンク先の「3」参照)の保持者だからか後から来る特急に乗るようでした。

 

【今回のルートと所要時間】

  • 11:50大月駅前発 → 12:05登山口 → 12:14ふれあい館 → 12:40見晴台 → 12:45岩殿山頂上 → 12:55見晴台に戻ってランチ13:15 → 13:45第1の鎖場 → 13:50第2の鎖場 → 14:16天神山山頂 → 14:31稚児落とし通過 → 14:51舗装路に到着 → 15:13浅利会館 → 15:30大月駅着

 

【感想】

「岩殿山の見晴台」からの景色、「2つの鎖場(それら以外にもいくつかありますが)」と「稚児落とし」のスリル、どちらも最高でした! 富士山が見られなかった私が最高って言うんだから、もし見られたら、もう悶絶ものでしょう。

休憩を入れて3時間半というほどよい長さだけど、子どもを連れていくのはやめたほうがいいと思います。「マジで稚児落とししちゃったらどうしよう」とか心配になるから。

と書いたあと、あれこれサイトを調べたら「迂回路」でも「ロープで下り」とかがあるらしいです。

桜の季節なら、「逆回りで最後に花見して帰る」というルートもアリな感じはしますが、あの鎖場を下るのはやっぱり避けたほうがいいと思います。

いやー、でもすごかった!

【文と写真 海外書き人クラブ・ユッキー】

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