【オーストラリア在住ライター直伝】豪華寝台列車「ザガン」の5+αの魅力

ザガンの機関車を正面から

寝台列車の旅はお好きですか? スピードという点では飛行機はおろか自動車にもかなわないことが多いですが、独特な風情がありますよね。

そこで今回はオーストラリアを代表する長距離寝台列車「ザガン」の魅力についてお伝えしましょう。

こんにちは。海外書き人クラブ所属、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

 

ザガンの基礎知識とうんちく

ザガンの車体のロゴ

ザガン(The Ghan)」はオーストラリア大陸の内陸部、南のアデレードと北のダーウィン間総距離2979キロを結ぶ長距離寝台列車です。

2016 年 8 月 3 日~10 月 26 日は「ザガン・エクスペディション特別ツアー」と銘打った3泊4日の特別便も週一回走行していたのですが、通常はアデレード発もダーウィン発も週2便2泊3日約50~54時間の旅になります(途中のアリススプリングスで乗車または下車する1泊2日でも利用できます)。

私はアデレード発も、ダーウィン発も体験していますが……どっちがいいということは特にないです。一方を出発前、そしてもう一方を到着後に楽しめばいいので、本当にどちらがオススメということはないです。

しいて言えばアリススプリングスでのオフトレインツアー(降車してのツアー)で、「アリススプリングスデザートパーク」を選べるダーウィン発かもしれませんが。

さて“Ghan”というのは聞きなれない単語ですし、たぶん英和辞典にも載っていないと思います。これは”Afghan”、つまり「アフガニスタンの」とか「アフガニスタン人」という言葉を略したものです。

なんでオーストラリアの鉄道の名称に別の国であるアフガニスタンが出てくるかというと……。じつは19世紀後半、オーストラリアの内陸部にある砂漠地帯の金鉱や宝石の採掘地などと沿岸部との行き来に、アフガニスタン人たちの御者が率いるラクダが用いられたのです。どちらも同じ大英帝国の一員だったので。で、その功績をたたえる形で、この名前がつけられました。

ちなみにその後、内陸部との行き来に自動車が使われるようになると、ラクダはそのまま打ち捨てられ、野生化したのですが、今では乗馬ならぬ「乗ラクダ」ツアーを楽しませてくれる場所があちこちにあります。

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魅力1 豪華な個室またはツイン寝台

ザガンの客室係

ザガンには3つのクラスがあります。

プラチナクラス

最もラグジャリーなクラスです。シングルまたはツインの個室ですが、次に記すゴールドクラスの約2倍の広さがあります。

その他のゴールドクラスとの違いは、食事は「プラチナクラブ」という専用のレストランカーになること。また朝食は部屋でのコンチネンタルブレックファーストにすることができます。

それからシャワーや化粧台がフルサイです。

 

ゴールドクラス

ザガンのゴールドクラスのツイン個室

上記の写真はゴールドクラスのツイン個室です。

かつてはこれがラグジャリーなクラスだったのですが、今は上にプラチナクラスができました。それでも充分すぎるほどラグジャリーです。

料金に含まれているものはというと……。

滞在中のすべての食事クイーンアデレードレストランというレストランカーでとります。レストランカーへの移動は最大で2車両なのですぐです)。ランチは2コース、ディナーは3コースで、きちんと乗車している料理人たちによってつくられるものです。

アルコールを含む飲料

オフトレインツアー。つまり途中で停車する際のツアーです。これは後でまた書きます。

そして各車両に一人、客室係が乗車して、あれこれ世話を焼いてくれます。上の写真のひげの方ですが……彼は客室係長ですね。

これらのサービスは当然、プラチナクラスのほうにも含まれています

トイレやシャワーに関しては、シングルは共同。ツインの場合は各個室についていますが……普通のビジネスホテルやワンルームマンションよりもずっと狭いです。洗面台のまわりをシャワーカーテンで囲むという形で、正直言ってかなり窮屈ですね。

 

レッドクラス

これは「寝台」ではなくて座席車です。座席は135度リクライニングします。

食事などはついていませんが、サンドウィッチなどのできあいのものを車内のカフェまたは車内販売で購入できます。またオフトレインツアーもついていません。

 

今回は豪華寝台列車の魅力と銘打っているのと、私自身、プラチナクラスとレッドクラスには乗ったことがないので、ゴールドクラスを中心に記述します。

 

魅力2 オフトレインツアー

ニトミルク渓谷のクルーズ船

ザガンは、アリススプリングス駅とキャサリン駅で、途中2回長時間停車。その間列車を降りてのツアーに参加します。

アリススプリングスでのツアーは「アリススプリングス名所観光」「シンプソンギャップディスカバリーウォーク(ハイキング)」。ダーウィン発の場合はこれに「アリススプリングスデザートパーク」というツアーも加わります。また追加料金を払えば飛行機やヘリのフライトもできます。

「シンプソンギャップディスカバリーウォーク」には参加したことがないので何とも言えませんが、特にオーストラリアの荒野が初めてという方は「アリススプリングスデザートパーク」がオススメです。その名の通り、「砂漠(デザート)」の雰囲気が味わえるからです。

一方、キャサリンでは「キャサリンアウトバック(荒野)体験」「ニトミルク第一渓谷壁画クルーズ」「ニトミルク渓谷クルーズ」の3つに、アデレード発でもダーウィン発でも参加できます。

ニトミルク渓谷というは日本では「キャサリン渓谷」の名前のほうがまだ使われているかもしれませんが、オーストリアではできるだけ英語の名前ではなく、先住民族アボリジニの名称を大切にしようという機運が高まってるのです。エアーズロックも今は「ウルル」ですし。そのニトミルク、第1渓谷から第13渓谷まであって、カヌーでは最後まで行けるのですが、クルーズ船でのツアーは第5渓谷までです。

で、「ニトミルク第1渓谷壁画クルーズ」と「ニトミルク渓谷クルーズ」との違いは、後者が途中で一度クルーズ船を降りて、第2渓谷まで行くのに対して、前者は第1渓谷でじっくり壁画を楽しむ点です。

 

魅力3 食事がおいしい

メインミールの鶏肉

メインミールのサーモン

「列車の中の食事なんてたいしたことがないだろう」と思われるかもしれませんが、そんな考えは見事にいい方向に裏切られるでしょう。

しかもランチは2コース、ディナーは3コース。そしてそれぞれいくつかのメニューからチョイスすることができます。

そしてアルコールも含む飲み物がすべて料金に含まれているのもうれしいですね。オーストラリアはワインも有名なのでぜひいろいろ楽しんでください。

ちなみにビールでオススメは「クラウンラガーズ(Crown Lagers)」です。

魅力4 車窓からの風景を楽しむ

車窓からの夕景

日本の列車旅の魅力は次々に変わる風景だと私は常々言っています。特に高山本線など山岳地帯を走る線は川沿いや滝やや巨岩が次々に現れて、見ていて飽きません。

一方ザガンからの風景は……変わらないんですね、これが。場合によっては1時間経っても。広大な大地ですからね。

ただその「なーにも変わらない風景」を眺めるのもなかなかできたい体験です。

また暮れなずむ夕日とともに表情を変える夕焼けは必見です。そして朝焼けも。

 

魅力5 ラウンジカーでのおしゃべり

ザガンのラウンジカー

せっかく個室なのだから……とこもりたくなるような気がしますが、狭い部屋にいるとさびしくなるんですね。いくら豪華列車とはいえ、三畳あるかないかのスペースですから。

そのあたりのことは運行会社のほうも心得ているようで、ちゃんと各食堂車の横に「アウトバックエクスプローラーラウンジ」というラウンジカーが備え付けられています。他の乗客もぶらっと出てきたりしているので、おしゃべりしてみましょう。

えっ? 英語に自信がない? いいんです。

だってそこにいる人はなんだか暇で、人恋しくて来ているわけですから。たとえあなたの英語が片言でも楽しく話せると思います。

魅力(番外編) まったく違う二つの街

ザガンを他の大陸の長距離列車と比べたときの最も大きな違い。それは東西に走る大陸「横断」列車ではなく、南北に入る大陸「縦断」列車である点。その何がおもしろいかというと、始発と終着でまったく気候が違うのです。

アデレードは温帯の都市ダーウィンは熱帯の小都市(ちなみに途中のアリススプリングスは砂漠の町ですね)。

そしてアデレードはオシャレな都市で近郊のワイナリーも有名。ダーウィンは広大な自然を誇る世界遺産「カカドゥ国立公園」カカドゥ国立公園(世界遺産)8つの見どころランキングもぜひご覧ください)の玄関口。

つまり乗ったときと降りたときでは、まったく違う気候や風景が楽しめるのです!

できればアデレードとダーウィンでそれぞれ時間を取って、ザガン以外のオーストラリアも楽しんでいってください。

 

グレートサザンレール(運行会社。ザガン以外の列車の情報も含む)の日本語版

 http://www.gsr-japan.com/

 ※おそらく自動翻訳なのでときどき日本語が怪しいですが、料金その他の確認はできます。

 ※レッドクラスに関しては公式ウェブサイトの日本語版には記述がないので、下記の英語版を読む必要があります。

グレートサザンレールの英語版

 http://www.greatsouthernrail.com.au/

【文:海外書き人クラブ 柳沢有紀夫】

(「海外在住ライターを使ってみたい」と思われている方。「海外在住ライターになりたいと思われている方。耳寄りな情報があります。ぜひこのページの下のほうまでご覧ください)

世界の絶景を車窓から眺める 世界の鉄道の旅


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