ネパール人スタッフを雇う人が絶対に知っておくべき10のこと

ネパールの風景

外国人スタッフを雇っている人なら、誰でもぶつかる壁。それはお互いの国民性の違いによる誤解やトラブルでしょう。お互い悪気はないのに、仕事場ではそれが大きな問題になることも。

そんな職場でのトラブルを最小限に抑えるためにも、外国人スタッフを雇うなら、彼らの文化や生活習慣について多少は知っておきたいものですよね。

こんにちは! 海外進出サポートネットおよび海外書き人クラブ会員、ネパールのポカラ在住ライター・宮本ちか子です。

今日は、ネパール人スタッフを雇う人なら絶対に知っておくべき10のポイントをまとめてみました。

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最近ネパールで起業したいという相談のメールを立て続けに2〜3通もらいましたが、ネパールでネパール人を雇って会社を起こそうと思っているなら、最低でもこれから紹介する10のポイントは抑えておくべきでしょう。

また、日本でも最近、ネパール人ワーカーは急増中!

日本在住のネパール人の場合は、日本のシステムや日本の文化・習慣に慣れているので、ネパールにいるネパール人とは違う部分もあるでしょうが、それでも彼らのバックボーンを知っておくことは無駄ではないと思います。

 

 カーストがある国だということを忘れるべからず

ネパールの通り

ネパールは多民族国家であり、多宗教の国であり、さらにジャートと呼ばれるカースト制度(身分階級制度)が現存しています。法律上では、どの民族、部族、一族も平等であると謳われていますが、長年続いてきたカースト制度がそう簡単に人の心からなくなるわけがありません。

民族間、ジャート間の目に見えない深い溝は存在します。

日本人にはなかなか見えないその溝を無視して人事配置すると、うまくいくものもうまくいかなくなるのがネパール人社会。

ジャートの溝がなくなっていく方向に向かうべきですし、向かいつつあるとは思いますが、まだまだ保守的なネパール人がいることも考慮しておいたほうがいいでしょう。細かい階級区分を理解するのは外国人には難しいかもしれませんが、大まかな区分は知っておいて損はありません

 

 ボスとスタッフの距離はきっちりと保つべし

ネパール語には「you」の種類が何種類もあるのをご存知ですか?

どの「you」を使うかは自分とその人の関係によって決まります自分より目上なのか、対等なのか、目下なのかという上下関係によってです。

そのくらいネパールでは人間関係において、上下関係はとても重要です。

ボスはボスらしくあるべきで、スタッフはスタッフらしくあるのべきと考える人が多数派です。何をもって「ボスらしい」というかは人それぞれでしょうが、ネパール的には「ボスは威張っていて、指示を出す人。現場で動くのはスタッフ」という感じです。

ボスが掃除したり、お客様の荷物を運んだりなんてのはもってのほか! そんなことをすると、スタッフになめられると、ホテルを経営していた私は部下であるマネージャーに叱られたことがありました。

日本的に、部下との垣根のないボスを目指すというのも一つのポリシーですし、それが悪いわけでないですが、それが裏目にでる可能性も高いということ。

ボスはボスらしく、スタッフとの一定の距離を保つ方がネパールではうまくいくようです。

 

 民族ごとに祭りや正月が違うことを考慮すべし

ネパールのお祭り

ネパール人と一口にいっても、民族も宗教も違います。一番多いのはヒンズー教徒で、それ以外には仏教、イスラム教、キリスト教、その他土着の宗教などなど諸々。それぞれに独自のお祭りがあります。また、同じヒンズー教徒でも住んでいるエリアによって祝うお祭りが違うこともあります。

さらに、民族独自の暦を持っている場合もあり、民族独自の正月を祝う人々もいます。

つまり、年間通して、お祭りや正月だらけなんです(笑)。

政府の発行する正式な国の公休日を決めたカレンダーはありますが、全ての民族の正月や休みを網羅できるわけではないため、自分のスタッフの祭りや正月は把握しておくのがよいでしょう。

 

4 皿洗いをしないコック、お茶汲みをしない経理が当たり前と思え

身分階級制度が職業と絶妙にリンクしているネパールにおいては、職業の貴賎があります。例えば、掃除や皿洗いなどは、低い階級の人がする仕事というのが一般的な認識です。

だからコックとして雇われた人は皿洗いをしません。「わたしはお皿を洗うジャートではありません」というわけです。

また経理担当の女性スタッフに、お茶汲みやそのかたずけを頼むと断られることがあります。これもまた「わたしはそういう仕事をするジャートではありません」というわけです。

ゲストハウスで新人のフロント係にトイレ掃除を言いつけた途端、退職してしまったという話もあります。

新人が、研修として様々な仕事をやらされるのが珍しくない日本の感覚で、ネパール人にも同じように指示を出したら、どんどん社員が辞めていってしまうなんてことにもなりかねません。

もし事務仕事から、接客、トイレ掃除やお茶汲みまでなんでもしてもらいたいのであれば、採用する前にそのことをはっきりと伝え、可能かどうか確認してから採用すべきでしょう。

 

 業務上の指導は別室にて

ネパール人にとって世間体はとても大切なものです。ですからスタッフのプライドを傷つけるような行為は避けなければなりません。

ジャートが高くなればなるほどプライドも高く、一旦そのプライドを傷つけてしまったら一生恨まれてもおかしくはありません。

業務上の注意や指導は、他のスタッフのいない別室で行うのが無難です。後輩のいる前で先輩を叱りつけるなどもってのほか。マネジャークラスの社員であればなおさら、決して恥をかかせてはいけません

こちらは業務上の指示としか思っていなくても、文句をつけられたと思い込む人も多いのです。

 

6 教える習慣がないばかりか、あえて教えない風潮あり

日本では、先輩が後輩に仕事を教えるのは当たり前です。それは先輩の役目でもあり、後輩が仕事を早く覚えてくれることで自分の仕事が楽になると考えるからです。

でもネパールではそうはいきません。後輩に仕事を教える習慣がないというよりは、あえて教えない風潮すらあります。

なぜなら教えることで自分の地位が脅かされると思う人が多いからです。上の立場の人ほど自分の地位やポジションを守ろうとする思いが強すぎる感は否めません。

ただし仕事を覚えて、クライアントと親しくなった時点で、顧客を引き連れて独立するという日本ではNGな会社の辞め方をするスタッフの話をちょこちょこと耳にするのも事実。

どこまで教えるべきか、どこまで信用するのか、その見極めは何年住んでも難しいのですが。

 

7 空腹のまま仕事をさせるべからず

ネパールの料理

ネパール人にとっては「仕事よりも生活が優先される」のが普通であり、当たり前です。

日本人なら忙しくて客を待たせているようなときは、食事抜きで働いたりもするかもしれませんが、ネパールではそれは絶対にしてはいけないことです。

空腹で仕事させるボスは、人でなし呼ばわりされてもおかしくありません。逆にお腹を満たしてあげることは、スタッフとのコミュニケーションを深める手段になります。

ネパールでは、ご飯は朝晩の2回が基本ですが、9時〜5時の勤務時間、何も食べずに働くのは無理があります。2時〜3時ごろにカジャ(おやつ)タイムを設ける会社も多いようですし、中にはまかないカジャを出す会社もあります。

大きなプロジェクトや記念行事にはスッタフを集めての食事付き打ち上げなどを企画することでボスの株は上がるはずです。

 

8 嫉妬心に注意

えこひいきは嫉妬を招き、職場に様々な問題を生み出す元になります。嫉妬というと、恋愛がらみの女性の嫉妬を思い浮かべる人も多いと思いますが、本当に怖いのは男性の職場における嫉妬です。

人前でスタッフの誰かに注意するのと同じくらい、人前でスタッフの誰か一人を褒めることは控えるべきでしょう。

嫉妬心から同僚同士が足を引っ張り合うことも、決して珍しいことではありません

また自分がのし上がるためには同僚の悪口を上司に言う(それが不当であることも多々ある)こともあるので、一人のスタッフのいうことを鵜呑みにせず、事実をしっかりと見極めることが大切

 

9 ネパールでの仕事は腰掛けと考える人多し

日本では『結婚までの腰掛け就職』などと言われることもありますが、ネパールでは海外への出稼ぎが決まるまでの腰掛け就職の男性が多くいます。

彼らが欲しいのは履歴書に書ける職歴です。海外で働くために必要なワーキングビザが出るまでのつなぎでしかありません。

だからそういう人々には、ネパールの職場において真剣に仕事を覚えようとか、上を目指そうとかそういう気概は全然感じられません(出稼ぎ並みに稼げる職場であれば話は別ですが、そういう職場はそうそうありません)。ビザをゲットしたらとっととおさらば。

来週フライトなんで辞めます! なんて言われることもよくあることですし、数ヶ月で辞めていく人も多いのです。

常に人材探しに走り回り、一通り教えたと思ったら辞めていくその繰り返しだと嘆く経営者の声はよく聞かれます。

 

10 出来心には鍵をかけるべし

お金や貴重品には絶対に絶対に鍵をかけるべきです。公立の先生の月給が16000円程度のネパールでは、日本人にとっては大した金額ではないお金であっても、人の心を誘惑するものとなりえます。

お金に鍵をかけるのは経営者のためだけでなく、スタッフがお金のパワーに負けて出来心で人生を棒に振ることを防止するためでもあるのです。

もちろんどんな状況においてもそういう誘惑に負けない人もいると思います。

でも鍵がかかっていれば誘惑に負けることはなかったという人だっています。鍵がかかっていれば犯罪者にならないで済んでいた人を、犯罪者にしてしまうのは経営者側にも多少の責任はあるのではないでしょうか?

だからこそお金を扱うポジションの人事は慎重になるべきだし、かけるべき鍵は忘れずにかけるべきなのです。

 

さいごに

いかがでしたか?

国や民族が違えば、生活習慣も違うし、働くスタイル、仕事への意識も違うもの。ネパールのポカラで15年間ホテルの経営をしていた私の経験が、これからネパールで起業しようと考えている方のお役に立てば幸いです。

(文と写真 宮本ちか子)

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